新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

法家と儒家ー大阪市立高校問題を考える

 今日は午後まで雨が続きました。そうは言っても暖かい1日です。午前中は散髪に行き午後は近くの温泉に行きました。ここは車で30分くらいのところです。本格的な温泉です。
 
 さて今日は日銀の金融政策の発表で日経平均も乱高下しました。アベノミックスをどう評価してよいのか相場も迷っているようです。先週くらいから乱高下状態です。一応日銀の政策発表も終わったので相場も落ち着くと思います。ただいつも言われるように相場は予想で買って現実で売るので、これから大幅な相場の上昇はないと思います。
 
 さて明日は授業です。明日の授業の内容は漢詩論語です。先週は韓非子をやりました。(「株を守る」)法家と儒家は授業で取り上げられることが多いです。現代社会を考える時にとても参考になる二つの思想です。今日はこれらの思想を現実の問題分析の視点としたいと思います。
 
 法家も儒家諸子百家と呼ばれる中国の思想です。時代は戦国時代です。もちろん中国の戦国時代で紀元前200年代の話しです。日本でいえば弥生時代くらいでしょうか。中国は諸国に分裂して戦っていた時代です。法家の思想の根本は性悪説です。人間の本質を悪と考えます。人間の本質が悪であるならば、厳しい罰によって統制するしかないと考えるのです。
 
 一方儒家は人間の本質は善であると考えます。人間の本質は善で悪は善の道からそれているだけで、教え諭せば善に戻ると考えているのです。ところで、具体例として大阪の市立高校の例を考えてみます。橋下市長は法律家出身なので法家の思想に近いのかもしれません。
 
 橋下市長は教育委員会教育庁)も教師も信じていないのでしょう。彼らは厳しい罰を与える以外に変革しないと考えています。だから入試中止という衝撃を与えて変革を促そうとしているのでしょう。高校の教師を全員異動させるとか、市立高校を府立高校に移管すると言うのも同様です。
 
 ここまで脅せば罰が怖いので変革を目指すだろうという狙いです。はっきり言わなくてもそう思っていると思います。また単に言葉だけでなく、予算という鞭で脅しているのです。確かに予算執行権は首長にあります。ですから法的には問題ないのですが、はたしてこれでよいのでしょうか。
 
 もし橋下市長と同様のことを他府県の公立学校で普通に行われるなら教育の安定はなくなるでしょう。このようなことがないように、行政部局と教育現場を分離したのです。ところで儒家の思想ならどうなるでしょう。教え諭すということになります。高校内部での話し合いや教育委員会での話し合いと言うことになります。
 
 確かにそのようなやり方はまどろっこしいし、果たしてうまくいくのかという不安もあります。しかし、現実には儒家の思想が長期的には生き残りました。法家の思想は秦によって取り入れられ中国最初の統一帝国になります。その権力は巨大なものでしたが、すぐに崩壊します。
 
 次の漢は秦と逆に穏やかなやり方をします。法は三章のみの言葉で知られています。確かに法家の思想は劇的な効果をもたらします。人は罰に弱いからです。しかし、罰だけでは人を従わせることはできません。罰だけで従わせようとするとまず自発性がなくなります。
 
 次に上の顔色だけを見るようになります。長期にわたって橋下さんのようなやり方をすれば組織は停滞するでしょう。彼のやり方は思いもつかない乱暴なものだからです。事前に予想できないし、他人の意見を聞きそうもないので、指示待ちになるでしょう。
 
 色々な考えがあるので、橋下さんのようなやり方でなければ何も動かないと言う人も多いと思います。しかし、物事は地道にやるしか本当の改革はできないと思います。今日は思い付くままに書いてみました。
 
 明日は授業なのでブログはお休みです。