新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

自衛隊の海外人質救出作戦は可能か

 今日は午前中は小雪まじりでしたが、午後から晴れてきました。さてアルジェリアでのテロの犠牲者の方々も日本に帰国されたようです。
 
 このような海外でのテロが起こって犠牲者がでると自衛隊は何をしているのだ、なぜ救出作戦ができないのだという声がでます。かって拉致問題が話題になった時も国会議員から自衛隊を派遣して救出しろという意見が出たように記憶しています。
 
 ところで自衛隊法なり憲法を改正すれば人質救出作戦は成功するのでしょうか。そうは思えないので今日はこれについて書きます。
 
 まず思い出す人質救出作戦はイランでの大使館員救出作戦です。イラン革命の後アメリカ大使館が学生によって占拠され館員が人質になりました。それをアメリカ軍が救出するために出動したのです。しかし、ヘリコプターの事故などもあって失敗し、犠牲者も出ました。
 
 人質救出作戦だけでなく、海外で軍隊が活動するには周到な準備が必要です。地元の正確な地図や協力者また敵の配置状況などです。敵を知り己を知れば百戦危うからずと言ったのは孫子です。人質救出作戦の場合、当然のことですが、相手の正確な配置状況など不明です。
 
 それ以上に現在の日本の情報収集体制では基本情報さえ手に入れられないでしょう。ということで情報機関の整備が問題になっています。しかし、日本の場合島国なので情報収集が極めて困難です。情報網という言葉が示すように、他国の情報機関と情報を交換したり、外国で情報提供者を確保するには大変な時間と手間がかかります。電子機器を使っての情報収集も大事ですがやはり決めては人からの情報です。
 
 欧米の場合かっての植民地時代のつてがあります。また移民も多いので相手国の国情や言語に精通している人がたくさんいます。ところが日本の場合移民がほとんどいないのでそのようなことも無理です。また戦前の軍隊では情報が軽視されてきました。その伝統は今でも自衛隊の中にあると思います。
 
 防衛駐在官をアフリカや南アメリカに派遣するという話しもありますが、たとえ駐在してもそんなにすぐに地元政府にコネを持つことはできません。このようなコネはやはり10年単位で作られていくものです。
 
 さらに重要なテロに関する情報などはすぐに伝わってきません。それらを総合すると人質救出作戦はほとんど不可能ということができます。実際海外で人質救出作戦が可能なのはアメリカくらいでしょう。また情報機関の能力から言えば、イギリス・フランス・イスラエルくらいが海外で情報収集ができているくらいです。
 
 中国も情報機関を持っていますが、海外の中国人からの情報が関の山でしょう。ドイツなどは国内やヨーロッパでは活動できるでしょうが、アフリカや中近東では難しいと思います。
 
 はるか東アジアの日本ができることは限られています。へたに世論に押されて人質救出作戦はなど敢行すれば多くの犠牲者と国際世論の反発あるいは当事国の非難を浴びるだけです。また普段から準備や装備を整えておく必要があります。アメリカは海外の街のモデルを作って訓練していると聞きました。
 
 アジア以外の国の場合気候風土が違うし風俗習慣の違い言語の問題などがあります。イラク復興支援のような国民に喜ばれる活動を推進し、日本の平和的なイメージを高める方が遠回しですがよいのではないかと思います。
 
 どうも保守派の意見が強くなって日本では現状を無視した強硬論が盛んなようです。かって行け行けドンドンで最後に全てを失った過去を繰り返さなければと思っています。
 
 明日は外部から牧師さんを呼んで研修会があります。おじさんは礼拝の司式があるので緊張しています。