新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

北朝鮮問題解決の困難性ーすくみあう関係国

 今日も晴天でした。午前中は所用で忙しかったです。午後は少しのんびりしています。授業も終わったので、4月10日頃まで特に何もありません。
 
 株式市況は安値から戻していました。ぐんぐん上昇もしないかわりにずるずる下がらないところも特徴です。
 
 さて、北朝鮮のロケット実験に続いて核実験とアジアの危険地帯になっています。本来なら近隣諸国が一致して北朝鮮に対抗すべきところですが、それぞれの国の思惑が異なり一致して対抗することができません。複雑な高次方程式を解くようなものです。
 
 つまり一つの解が成り立っても他の解には合わないということです。5つの解を全て満足させるものでなければならないのです。そして、その解が0であってはならないのです。ここで言う0とは北朝鮮の国家崩壊です。保守強硬派の人の中には北朝鮮を爆撃しろという意見もありますが、それはできないのです。
 
 なぜなら、一番関係の深い、中国・韓国が戦争とそれに伴う国家崩壊だけは避けたいと思っているからです。どちらの国も難民問題とその後の政権の行方が自国の将来に大きな影響を与えるからです。
 
 中国にとって難民問題は自国に朝鮮族という少数民族を抱えるだけに深刻です。韓国との国境線は現在厳しい非武装地帯で仕切られています。韓国の場合、現状で北朝鮮が崩壊したとしてもまず難民が大量に流失する可能性は少ないです。
 
 一方中国の場合、川一つで国境を接しています。今でもちょっと目を離すと脱北者が出ています。国家崩壊で混乱がおこれば、どれだけの人間が流出してくるか見当もつきません。今でさえ民族j問題で苦しんでいる中国にとってさらに難民が万単位で流入するのは絶対に避けたいところです。
 
 また、北朝鮮崩壊後に韓国軍が侵攻して、軍事占領をする可能性もあります。もしそれに中国が介入すれば韓国軍と中国軍の軍事衝突になります。韓国軍をアメリカ軍が支援する可能性もあります。北朝鮮を分割統治するにしても、今度は韓国・アメリカ両軍の勢力が中国国境に迫ってきます。
 
 それでは韓国はどうかと言えば、北朝鮮が崩壊しても同胞なので難民を追い返すわけにはいきません。女性や子供、老人を追い返せば国内で批判が高まるでしょう。さりとて北朝鮮を丸抱えすれば韓国経済はもちません。また中国と直接国境を接するとなると軍事衝突の可能性もでてきます。
 
 ところで日本ですが、先に書いたように北朝鮮崩壊となれば、難民がやってくるのは避けられないでしょう。また、中国・韓国経済に大きな影響があれば、日本にも影響が及びます。それに、日本にできることはほとんどありません。
 
 軍事介入も無理だし、韓国が北朝鮮を統一したとしても、現在の経済状態では経済支援についても簡単には
いかないでしょう。アメリカもイランの核施設には爆撃をほのめかすのに、北朝鮮の核施設については、爆撃を言及しません。
 
 イランの場合、イラン一国の問題で近隣諸国に問題が波及する可能性は低いからです。それにイランの場合、核施設を破壊しても国家が崩壊したり、近隣諸国と軍事衝突する可能性はありません。
 
 アメリカも北朝鮮の崩壊を望んでいません。北朝鮮が崩壊すれば、東アジアの権力のバランスが崩れるのです。ロシアの場合も崩壊による難民流入朝鮮半島の動乱を恐れています。
 
 つまりどの国も北朝鮮の行動を苦々しくく思いながら、何もできないのです。軍事介入も北朝鮮経済が崩壊するほどの経済制裁もできないのです。(やろうと思えば中国は今日でもできるでしょう。)韓国も中国もアメリカも北朝鮮が軍事暴発すれば、即座に攻撃を開始するでしょうが、何もしないのにこちら側から攻撃はできないのです。
 
 いまや中国国民の中にも北朝鮮の振る舞いを苦々しく思っているはずです。しかし、少しでも国際情勢に通じていればどうにもならないことは分かっているはずです。北朝鮮が内部から崩壊する可能性は少ないと思います。やはり金一族以外に譬え軍高官と言えども統治者の正統性を持ち得ないでしょう。
 
 ただ、今新しい指導者層と以前の指導者層との間で確執が起こりつつあります。これは最高指導者が交代した時に必ず起こります。もし、これがうまくいかないと内戦状態になります。以前の指導者層が新しい指導者層に対抗する場合です。
 
 今のところ、それでも穏便に事は運んでいると思います。その象徴として北朝鮮新指導者層はロケット実験や核実験をやっているのです。これがやれるほど権力を掌握しているのだと言うことを世界に示しているのでしょう。
 多分これから10年近くこの中途半端な状態が続くと思います。おじさんのような外交問題の素人でも分かるのですから、海千山千の外交をやってきた北朝鮮指導部には分かりすぎていることです。
 
 もし変化があるとすれば、現在のキムジョンウン氏が北朝鮮ゴルバチョフか鄧小平になる時だけでしょう。彼の経歴と時代の要請、若さからすればわずかですが、可能性が残されています。
 
 明日も色々忙しいです。