新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

海外で働くという事ーハイリスクローリターン

 今日は肌寒い一日でした。昨日までの雨は上がったのですが、その分風も強くて寒かったです。おじさんの住まいは西日本なので間もなく桜が咲きそうです。
 
 株価は久しぶりの高値更新のようですが、おじさんの持ち株は余り関係ありません。やはり人気は不動産関連のようです。TPP関連で農機関連企業が上がっていました。まあ仕方がないので気長に待ちます。
 
 おじさんは、時間が沢山あるので、様々なサイトを見ています。その一つにアゴラというサイトがあります。意見を書くサイトなのですが、そこで最近海外で働くことについて意見が書かれていました。ある人はこれからはどんどん海外で働くべきだと書き、別の人は海外で働くより国内で働く方が良いという意見でした。
 
 そこでおじさんの体験を踏まえてこのことについて書きます。結論から言えば海外で働くのはハイリスクローリタンと言うことになります。まず海外で働くには、何か資格なり技術が必要です。おじさんの場合中国で働きましたが、就労ビザを取るためには、雇用先の証明が必要です。
 
 観光ビザで入国してそこで仕事を探すのは難しいです。とりあえず仕事が見つかってもリスクが山盛です。中国の場合、アメリカや他の途上国のような銃撃事件に巻き込まれることはありません。意外なことに中国ではコソ泥やスリは多いのですが、強盗などは少ないです。
 
 フィリピンなどでは誘拐などの犯罪に巻き込まれる可能性も高いです。中国では警察官が街に山のようにいますし、ガードマンも大勢います。警察官も数年前まで丸腰だったのですから、凶悪犯罪は少ないと思います。国によっては、治安の悪い国も多くあります。そのリスクも考えなければなりません。
 
 海外で一番恐ろしいのは病気やけがです。日本のような健康保険証一枚でどこでも受診できる国はありません。金の切れ目が医療の切れ目の国がほとんどです。それにある程度以上の医療を受けようとすると日本と同じかそれ以上のお金が必要です。そもそも地域によっては首都や大都市以外に十分な医療機関がない場合もあります。
 
 一番良いのは海外旅行保険をかけれよいのですが、これがとても高いのです。また、日本以外の世界中の国では空気を読んでいれば良いところはありません。徹底した能力主義です。それに自己主張しないとすぐに忘れられてしまいます。
 
 と言っても仲間から孤立するとはずされてしまいます。適度の付き合いも必要です。おじさんのいた大学の某日本人教師は他の中国人教師と全く付き合いもなく余りにマイペースだったので途中で契約を打ち切られました。そうは言っても基本的には自分というものを持たないとやっていけません。本国から期限付きで派遣された人は別ですが、海外で働く日本人はやはり個性的な人が多いです。
 
 おじさんが会った人も企業派遣や政府派遣の人を除けば、やはりその国で一旗揚げようという人が多いです。昔「狭い日本に住み飽きた、シナにゃ四億の民が待つ」という歌があったそうです。そのような人達を大陸浪人と呼んだそうです。
 
 なんとなくそんなイメージを持ちました。海外で長く過ごすと今度はKYが求められる日本で生活するのが難しいです。それに言語の問題があります。おじさんは3年間中国で過ごしましたが、中国語は挨拶程度です。おじさんの場合日本語学部で授業するので中国語ができなくても仕事ができました。
 
 それに国語教師だったので、漢文で中国古典を勉強したので、中国語を読むだけならなんとでもなりました。それでも困った時は英語を使いました。仕事で外国に行くなら基本的にはその国の言語を習得しなければなりません。それ以外に日常会話で不自由しないくらいの英語も必要です。
 
 こう考えて行くと、海外で働ける若者はそんなに多くありません。そして、リスクは極めて高いです。それでは海外で働ける若者はどんな人でしょうか。まず健康でタフな性格が必要です。仲間とつるむのを好み、いつも他人からのメールを気にしているようではちょっと難しいです。さりとて、孤独を愛するのも困ります。
 
 次に何かの資格か技術を持っていなければなりません。日本で仕事がないからと行って海外で仕事があるわけではありません。どこの企業でもあなたは何をもってうちの企業に貢献してくれますかと聞くでしょう。相手もお金を払ってでもペイする何かを求めるでしょう。
 
 それから若者であれば語学能力が求められます。学校で勉強した語学はせいぜい英語くらいですが、タイならタイ語ベトナムならベトナム語、中国なら中国語が必要です。若者に通訳を付けてでも雇いたいと思う企業が少ないでしょう。(それでも雇うだけの技術や資格があれば別です。)
 
 賃金も日本に帰ったらとても暮せない金額しか出ません。中国の国立大学の副教授だったおじさんでも10万円以下の給料です。これでも学部長クラスの給料をもらっていたのです。タイやベトナムなどだともっと低いでしょう。おまけに若者ですと、日本に住民票を残して国民年金に加入しなければなりません。
 
 もちろん海外転出にすれば年金を払わなくて済みますが、今度は年金受給時になって相当年金を減額されます。国民年金国民健康保険とセットになっているので、健康保険を使わなくても払わなければなりません。この金額は海外での収入から考えればばかになりません。
 
 以上のことを考えれば、職のない若者よ海外で働けと簡単には言えません。国内で仕事が見つからないのに海外で職を見つけて働くのはもっと難しいでしょう。国内である程度以上のキャリアを積み、ぜひ海外で働いてほしいと言うのであればよいと思います。
 
 今日は最近のアゴラの記事から海外で働くことについて書きました。今日はこれから息子が東京から帰省するので迎えに行きます。明日も重要な用事があります。