新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

教員の出向人事(1)ー大阪市立高校問題について

今日は午前中は割合寒かったのですが午後から温かくなりました。株価はアメリカの市場が大幅下落したので、日本も安値だ始まりましたが、日銀の金融緩和政策を受けて後場から上昇しました。

 大体日本の市況はアメリカ相場の影響を受けるので日本の独歩高は珍しいです。さて、今日は大阪の市立高校に大勢の教頭や校長が在籍していることについて書きます。朝日新聞ではある教育委員が発見し問題にしたと報じていました。

 橋下市長もけしからんみたいなことをコメントしています。これは教育委員会の事務局の説明が悪かったのだと思います。誤解の根底には公務員の出向人事について民間の人がほとんど知らないことにあります。今回は学校が問題だったのですが、普通の教員に聞いても今回の問題について何も知らないし、理解もできないと思います。

 一つの高校になぜ大勢の教頭や校長が在籍しているかと言えば、その人達は教育委員会の事務局や教育センターなどで仕事をしているのです。教育委員会や教育センターの指導主事の場合は、明確に教員の身分のまま出向するとされています。

 事務職員として仕事をする場合もあります。体育保健課長とか県庁の児童福祉課に勤務する場合です。その仕事が終われば当然のことですが、もとの教員に戻るのです。その間学校に教員としての籍が必要です。完全にやめて事務職員になるのではないのです。

 おじさんの県の高校の場合、事務職員になる前に在籍していた学校に籍があります。○○高校付き教頭などと呼ばれます。「付き」という言葉は国家公務員にも民間でも使われます。たとえば、民間企業から業界団体へ出向したりする場合「総務課付き課長 ○○事業連合会出向」などと言った具合です。

 一つの学校に集中していたことが問題になっていますが、県立高校の場合、あれほど多数ではありませんが、学校付き教頭が数名、学校付きの教諭が8名存在する高校を見たことがあります。これはおじさんが大学院の修士論文を書くため各高校の学校要覧を見ていて確認したのです。

 どうもその県では、出向者の原籍をある特定の高校に集めていたようです。おじさんの県でもやはりどこかの学校に管理しやすいように集中させているようです。大阪市の場合、なぜ一つの高校に集中していたのでしょうか。実はこれも面倒な話ですが、義務制の学校の場合、給料は県(大阪の場合府)からでているからです。

 政令指定都市の場合、義務制の教師の人事権はあるのですが、給料は府県からでています。ところが市立高校の場合、その市が教員の給料を払っているのです。つまり大阪の市立高校は大阪市が人事権と給与支払い義務の両方をもっているのです。

 そのため市立高校を持つ市の場合、市教育委員会に出向する場合市立高校付きとするのです。こうすれば、給与の問題も人事権の問題も市独自でやれるので扱いが容易だからです。実はおじさんの市でも市立高校に高校付きの教頭がいて、その人は市教育委員会で仕事をしています。

 民間の人にとっては行政実務になじみがありません。まして弁護士も含めて自営業の人には行政実務になじみがないのです。一見理解に苦しむようなことでも行政上の必要からそうすることもあるのです。

 民間企業で業務上切手が必要なら庶務課なり課の庶務係に事情を話して手続きをすればすぐに貰えるでしょう。ところがあじさんがある高校で運動会の案内状を出すための切手を請求したら驚いたことがあります。

 切手をもらうために、起案書を起こし、教頭から始まって主事・主任主事・事務主査・事務次長・事務長・校長の決裁をもらって現金を支出してもらい、それから切手を買いに行き、やっと貰えました。切手は現金に替えることができるので、現金の支出と同じ原則として置いていないのだそうです。

 そのため、PTAの仕事をする臨時職員の人が切手を持っていてそれを買って私用に使っていました。公用でも枚数が少ない時は自分で買って出していました。数通の連絡文書に面倒な起案手続きをしたくないからです。この場合の公用というのは○○研究会理事会の案内などです。理事が数名の場合です。

 ことほど左様に行政の世界は細かく面倒なのです。全てが行政実務要領に従ってやっています。橋下市長はそんな行政の難しさや苦労をしらないで、ただ現象だけを見てけしからんと言っているのでしょう。

 まあ退職したおじさんが市教育委員会に同情しても仕方のないことです。そのほか教員の出向人事にはおもしろいことがあります。また別の機会に書きます。明日も教会の長老会(役員会)議事録作りです。