新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

アベノミックスの結末ー経済におけるマタイ現象

今日は一日雨でした。昨日まで晴天が続いたのですが、今日は雨でした。午後には雨が上がると思ったのですが、結局一日中雨でした。

 今日は時間があるので、来週からの授業準備をしました。新学期なので、取りあえず中間考査までの計画を立てました。実際は授業が始まって微調整をしなければなりません。

 さて、昨日は日銀の大胆な金融緩和の発表があって市場は乱高下しました。強気弱気が入り混じっています。ところで、アベノミックスは結局どうなるのでしょう。それをおじさんは経済におけるマタイ現象という聞き慣れない言葉で言い表しました。

 マタイ現象と言う言葉は経済の世界では意外と知られた言葉なのです。20年くらい前ある高校でICU(国際キリスト教大学)の受験生に過去問を指導していて問題にでているのを見たことがあります。高校生にはちょっと無理な言葉です。

 マタイ現象というのは、言葉から分かるようにマタイ福音書の中の文章から来ています。「豊かな者は益々豊かに、貧しい者は益々貧しく」と言うことばから来ているのです。経済においては、しばしば、このようなことが起こるので経済におけるマタイ現象というのです。

 もともとは信仰についての言葉なのです。ところで、今アベノミックスを受けて大幅な金融緩和が実施されそうです。そうなればお金がどんどん市場に流れるでしょう。しかし、昨日書いたように、その資金が経営基盤の弱い中小企業にまわるとは考え難いです。

 銀行はそんなリスクはとらないでしょう。借りてほしい大企業は内部留保がたっぷりあるし、そもそも国内で設備投資を考えていないでしょう。製造業の中心である鉄鋼や電機、機械などは円安になったからと言って輸出が激増するわけではありません。

 せいぜい円高時代の為替差損がなくなるだけでしょう。なぜなら輸出先のアメリカも中国も景気が今一だからです。東南アジアの景気が良いと言っても限度があります。それでは有り余るお金はどこに向かうかと言えば昨日書いた通り株式や不動産です。

 これは貧しい人たちには無縁の世界です。株式や不動産を保有しているのはお金持です。今回の相場でもお金持ちは大儲けしました。貧しい人は逆にこれから円安で輸入品の価格が上昇します。おまけにインフレで価格上昇が起こります。

 それでは円安で賃金が上昇する可能性があるのでしょうか。小売業のような利益率の低い世界では、人件費が大きな割合を占めています。アルバイトの時給を100円上げたりするのは難しいでしょう。製造業は設備投資をしないし、小売業は賃金アップが難しいとしたら、正規社員以外の人はたとえ安倍さんの意向を受けて賃上げしても関係ありません。

 2000万人以上の年金生活者も円安の影響を受けて大変です。数パーセントのインフレでも大変です。年金が数パーセント減少するのと同じなのです。そう考えるとアベノミックスの結末はミニバブルの崩壊で終わると思います。

 安倍さんの支持者の中には、このままデフレでじり貧になるより、どか貧の可能性があっても勝負にでるべきだと主張します。しかし、デフレの影響はじわじわ来ますが、インフレの影響は劇的です。その副作用ははかり知れません。

 先の大戦の時も、このままアメリカから禁輸政策を受けてじり貧になるくらいなら、一発勝負にでようというので戦争を始めました。知られているように、この戦争を始める前にシュミレーションをやったけれど、全て日本の敗北と出たのに開戦に踏み切ったそうです。おまけに短期の戦争で決着をつけるはずが、戦争が長期化し全てを失う結果に終わりました。今回もじり貧を避けようとして勝負にでて、どか貧になる可能性があります。

 国債金利の上昇、円の予想以上の下落、物価の上昇、国債残高の増加、一方賃金は上がらず庶民は物価高に苦しみ、一方お金持ちは不動産投資でかせぎ、株高に稼ぎ、円安で為替差益を得る結果に終わりそうです。

 明日は教会です。長老会(役員会)があります。