新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「一路」浅田次郎著を読んでー庶務主任の思い出

今日は晴天でおまけにとても温かかったです。今日は午後からの授業でした。株価の方はちょい上昇ですが、おじさんの持ち株では証券株以外目立った動きはありません。

 証券株にしても売却目標額より低いので当面様子見です。鉄鋼・電機・電力など大型株はまだ膨大な損失を抱えています。外貨の方もまだまだです。ということでおじさんにとってアベノミックスは含み損を減らしてはくれたけれど利益を得るところまでは行っていません。

 ところで、先日新聞で浅田次郎の「一路」と言う小説が出版されると言うので図書館で買ってもらいました。ここの図書館は結構予算を持っていて新しい本がそろっています。まあ授業料が月に2万円くらいですから、そうだろうと思います。

 県立高校などは数千円の授業料でも未納者が多くて困っているのです。ところで小説はある旗本が参勤交代に行く話です。その道中の責任者に全く経験のない若い武士が任命されて行く話です。

 これを読みながら、おじさんが生まれて初めて主任になった時のことを思い出しました。創立100年を超える伝統進学校でのことです。高校の主任・主事というのは企業の支店の課長のようなものです。

 事実県によっては教務課長とか生徒指導課長などと呼ぶところもあります。教務部長とか生徒指導部長と呼ぶ県もあります。法令による呼び方は教務主任、生徒指導主事なのですが。

 ところでこの本の主人公も全く経験もなくこの仕事に就きましたが、おじさんも全く庶務主任というのはどんな仕事をするのか知りませんでした。先任者は化学の先生で、引き継ぎの時、全くくだらん仕事ですと言いました。それもさもつまらなさそうな言い方でした。

 事実引き継ぎだけで何もアドバイスしてくれませんでした。やってみて分かったのは雑用係です。教室の一部が壊れたらそれを事務に言いに行きます。備品を揃えたりしなければなりません。また卒業式などの儀式の準備をしなければなりません。

 さらには各先生方の卒業式や入学式の仕事分担も計画します。当然事務室の事務官の人との折衝もあります。とにかく教諭(専門職)と事務官(事務職)では全く発想が違うのです。こちらは予算など知りませんし、必要なものは必要だと言う考えです。ところが事務官側はお金がないので、急に言われても困るというのです。

 その刷り合わせに苦労しました。どちらの言い分ももっともなのです。おじさんの家はサラリーマンの家系なので、事務仕事はお手の物です。帳簿をつけたりはできませんが、計画をたてて実施するのは得意です。

 それに兄弟は全員事務屋さんだし、弟は国家公務員行政職なのですから、行政(事務官)の人の考えなどすぐに理解できました。行政の人は行政の論理(筋)が通っていれば、好き嫌いなど言わずすぐしてくれます。あっさりしているのです。

 教師の世界は上下関係がないだけに個人的なつながりが物を言います。あの人が言うのならしてやっていいが、あの人の言うことなど聞きたくないと言った具合です。ですから困ったことがあったら事務官の人から言ってもらいました。

 もちろんお互い様で事務官の人が教員に直接言いにくいことはこちがら庶務主任の立場で言いました。教員の中には事情は分かってはいるが、事務官などから言われたくないと言う人がいるのです。その場合、おじさんは大勢の人に貸しがあるので、まあまあと言えばおじさんが言うなら仕方がないと折れてくれるのです。

 どこの世界でもそうですが、普段からの付き合いが大事です。付き合いと言ってもお酒を飲みにいくのでなく、困った時などに助けてあげたり、話を聞いてやったりすることです。普段御世話になっている人の言うことを無視するのは結構難しいのです。

 まさに情けは人のためならず(他人に情けをかけるのは自分のためだと言う教訓)でした。これは後に学年主任をした時にも言えました。庶務主任から学年主任になる時(教師の世界では昇進に当たります)事務の人から、出世するのだから仕方がないが、残念だったと言われました。

 事務長からも教員との交渉が難しい事務官を助けたりしたのでとても喜ばれました。そう言えば、転勤した先の学校でも事務主事の人から、ある研究会で「学校事務の将来」について発表しなければならないが、原稿を見てほしいと頼まれました。

 ちょっとこれではという内容だったので、代わりに原稿を作ってあげました。それを元に発表したら他の学校の事務官の人からとても良かったと言われたそうです。それでまた事務室の人から信頼されるようになりました。別の事務官の方からも、教員なのになぜ「学校事務の将来」などと言ったテーマについて書けるのと言われました。

 実は高校教育に関する雑誌で「学校事務の将来」という特集があったのです。おもしろいと思って読んでいたのです。まさに孫子の言う「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」です。芸は身を助けると言いますが、知識も身を助けるのです。

 今日は自慢話で申し訳ありません。世の中にはおじさんのような変わった教師もいるのです。明日も授業です。