複雑化する国際関係ー思いこみの危険性
今日は午後から本格的な雨になりました。アメリカの株式市況は大幅な下落で週を終えたようです。月曜日の市況での上昇は見込めないようです。おじさんは以前から書いているようにアベノミックスなど全く信じていないので、早々と利益を確定して高見の見物です。
まだまだ上がると考える方はさらに買い増せばよいし、ピークが過ぎたと思われる方は利益がでたものは売って、利益を確定し、新規投資を控えればよいだけです。
ところで今「シリーズ日本近現代史 占領と改革」(岩波新書)を読んでいます。出版されたのは2008年とちょっと古いです。実は学校の図書館に中公新書に最新発行の本が入っていないので、これを読んでいるのです。昨日まで同じシリーズの「アジア太平洋戦争」を読んでいました。
こちらは新しい知見はありませんでした。しかし、「占領と改革」の方は意外な事実が多かったです。詳しいことはまた書きますが、本を読んで分かったのは、「思いこみの危険性」です。いわゆる通説を信じ込むと危険だということです。真理は些事に宿るという言葉通りです。
それは日本外交についても言えると思います。特別な情報機関でなくても、新聞記事を時系列的に読んでいけばいろいろなことが分かります。かってCIAはソ連の電話番号帳を丁寧に調べて、政府高官や軍高官の人事異動や失脚を調べていたそうです。(電話帳への新規掲載や削除などから)
思い込みと言えば、今でも冷戦的思考があるようです。さすがに外務省関係者はないと思いますが、政府関係者にもあるようです。ですからもちろん大多数の国民がそう考えても不思議ではないでしょう。それに日本は空気が支配する国ですから、詳細な事実よりあいまいな空気の方が力を持つと思います。
現在の空気は反日か親日かです。かっては北朝鮮・ロシア・中国が反日で台湾・アメリカ・韓国が親日でした。今はサイトやコメントを見ると中国・韓国が圧倒的な反日の国です。自民党などは韓国ロビーの最たるものだったのですが、今では自民党支持者は反韓国です。
台湾も親日の代表でしたが、日本の巡視船に放水したりしています。また今では台湾は中国との関係を深めています。それを取り戻す意図なのか最近日本政府は台湾に漁業問題で大幅な譲歩をしました。おかげで沖縄の漁民は困っているようです。
その台湾ですが、今度はフィリッピンとの間で問題が起きています。フィリッピンは今中国と領海をめぐって対立しているので、日本も応援する姿勢を見せています。巡視船を輸出する話もあります。ところがフィリッピンの警備船が台湾の漁船に発砲して死者がでたようです。
こんな場合日本はどうするのでしょう。今の状況でフィリッピン側に有利な巡視船を輸出すれば台湾の国民感情は悪くなります。またインドシナ半島でもラオスが脱北者を北朝鮮に強制送還しました。中国から東南アジアへシフトしようが今はやりの合言葉です。
さらにはインドも親日というので政府は反中国包囲網の働きかけをしているようです。しかし、先日も中国の首脳が訪問して共同声明を出していました。インドの立場も微妙です。というのも、パキスタンは明らかに中国寄りです。それにくさびを打つ意味でも中国と仲良くする必要があります。
日本とも仲良くするし中国ともそこそこ仲良くするという態度でしょう。かっての冷戦時代のように、社会主義陣営と資本主義陣営のような分類はもできないのです。日本が親日・反中国で包囲網を作ろうとしても、アジア各国は大国となった中国を敵にまわすわけにはいかないのです。
親日であるはずのアメリカも同様です。日本にだけ肩入れすることはできません。アメリカの願いはとにかく東アジアで問題を起こさないでほしいそれだけです。尖閣列島に中国軍が上陸して占領する事態になればアメリカも立ち上がりますが、そんなことは絶対にしてほしくないと中国にメッセージを送っているはずです。
今回もTPPへの中国の参加を呼び掛けています。日米中が組めば世界で怖いものなしです。中国も国民は間違いなくアメリカが大好きです。朝鮮戦争で一時戦いましたが、その前の日中戦争では一緒に中国と戦った仲なのです。
中国は北朝鮮とは血の絆があると言います。それは一緒に血を流して戦った仲だからだと説明されます。その論理でいけば日中戦争ではアメリカは中国軍とともに戦ったのです。中国兵にとってアメリカ兵は戦友なのです。おじさんは中国で日中戦争のドラマを見たとき悟りました。
日中戦争を題材にした中国ドラマで日本兵が悪く描かれるのはご承知の通りです。しかし、アメリカ兵が英雄としてさまざまな中国ドラマに登場するのを知っておられるかたは少ないでしょう。軍事顧問団といった上から目線ではないのです。
ある人気ドラマ(その年のドラマ大賞の候補となった)ではアメリカ軍の援助があったからこそ勝てたとはっきり描かれています。そのドラマでは仲間を救うために、泣きながら中国兵がアメリカ兵を撃つ場面がありました。また別のドラマではアメリカ兵が自らを犠牲にして中国軍を助けるのです。さらにたアメリカ兵が中国の女性と恋をする人気ドラマもありました。(その女性はアメリカ兵を救うため自分の身を犠牲にするのです。)
宣伝としてやっているのではないと思います。庶民は政府の宣伝などすぐに見抜いてしまいます。中国の庶民に大好評のドラマなのです。ヨーロッパでもフランス・ドイツは親日ですが同時に親中国です。以前書いたとおり日中戦争前後ナチスドイツは中国軍に軍事顧問団を送っています。
先に書いたドラマでも中国兵はあのドイツ兵がかぶる独特のヘルメットをかぶって登場します。ここまで書くと読者の中にはだからなんなのだと言われる方がでてくるでしょう。だから反日親日といった思い込みをせず、国際社会は自国の利益を最大化するために動いていることを知ってほしいのです。
今世界中は反中国で親日だという思い込みは危険です。それぞれの国はあれかこれかでなく、あれもこれも考えながらやっているのです。この視点がないとあんな国だと思わなかったということになるでしょう。
おじさんも中国に行くまであんなに中国人がアメリカのことを好きだと思わなかったのです。毛沢東時代の反米スローガンに惑わされていたのです。ちなみにドラマのロシア人は上から目線で中国軍を指導するので嫌われています。イギリスはアヘン戦争などあったのですが、日中戦争のドラマの中では尊敬されているようです。アメリカ兵は友人ですが、イギリス軍はやはり近づきがたい存在のようです。
明日は教会です。