新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

都議選をどう見るかー経済の視点を中心に

今日は曇ったり晴れたりの天気でした。昨日の夜からは雨だったのですが。株価の方は午前中は結構高かったのですが、後場下げてきました。いつも書いているように、完全に株価は13000円台のボックス相場になりました。ニュースにほとんど反応しないどころか反対の動きをします。(あたかも投資家の予想を覆すかのようです。)

 数日前のアメリカの株価が大幅下落したのに日本の株価は上昇しました。今日は都議選で政権与党が勝利し、来月の参議院選挙の勝利を確実なものにしました。政治的安定が保たれるはずですから、当然買いが入るはずなのに結果は反対です。

 地合いも悪いようです。売買代金も少ないようです。中国の経済が不安定なことも影響しているようです。中国経済が悪いと溜飲を下げる人もいますが、日本のかなりの部分を中国に輸出しているのですから影響は大きいでしょう。また中国に進出している企業から日本への送金もあるのですから、大変です。

 ところで今日は都議選の結果分析です。自公両党が勝利するのも投票率が低いのもすでに書いた予想通りです。しかし、結果分析は後回しにして数字だけ言えば、維新の会の敗北と共産党の躍進が意外でした。

 さて、政権与党が勝利したのでめでたしめでたしと言うことになるのでしょうが、そんな簡単なものではありません。今回の結果は地方選挙ですが、首都を含む地域の選挙ですから、国政への影響もあります。

 今度の参議院選挙も同じような結果の可能性があります。自民党の首脳も気づいていると思いますが(おじさんが気付くくらいですから)今回の都議選の結果は自民党にとっては意外に厳しいものだと言えます。普通自公が連立与党なので、与党大勝利ということになるでしょう。

 しかし、与党の一翼を担う公明党はそもそも野党だったのです。そこで考え難いことですが、もし公明党が野党に戻ったらどうなるでしょう。自民党は59議席です。公明・共産・民主・生活が組んだら58議席になります。つまり都議会での自民党の多数をおびやかすものになるのです。

 残りは維新が2議席とみんなが7議席です。そうなるとみんながキャスチングボックスを握ることになります。そうならないためには、自民党公明党の意見を大幅に受け入れなければならなくなります。

 以前自民党の力が強かった時代、公明党は下駄の雪だと揶揄されました。いつまでもくっついて行くしかないという意味です。今では逆です。公明党が連立から離れたら大変なことになります。

 ところで、今日のタイトルの経済的な視点についてです。今回の争点はアベノミックスの評価でした。評価しないとした人は共産党に投票したと報じられていました。まず維新の会はアベノミックスに賛成の立場ですから、問題外です。アベノミックスに賛成の人はほとんど自民党に投票したからです。

 維新の会が敗北したのは橋下人気が下落したことと、無党派を取り込めなかったからです。報道では100万票衆議院選挙の時より減らしたとあります。アベノミックスに反対の無党派の人は共産党に投票するか棄権したのです。前回投票率より10%近くのダウンですが、ほとんどが無党派支持層でしょう。

 もし棄権した人たちと、アベノミックスに反対の人が民主党に投票したら選挙結果は逆転していたかもしれません。みんなの党が勝利したのは、維新の会と違って自民党にすり寄らなかったからでしょう。今回の都議選の結果を見てみんなの党は野党的立場を明確にするはずです。

 そうなれば、先述したように公明党自民党との連立を離脱すれば都議会での自民党の優位はあっという間になくなります。このことはアベノミックスを含む自民党の政策にも影響を与えるでしょう。

 アベノミックスの第一の矢は異次元の金融緩和です。これは公明党共産党も賛成のはずです。どちらも零細事業者を支持基盤とします。共産党の場合民商を呼ばれる組織を持っています。(民主商工会)お金がどんどん出回ることに異論はないはずです。

 第二の矢の公共投資の拡大も問題ないでしょう。これは自民党の旧来の政策で公明党であっても地方の零細事業者に恩恵がいきわたるからです。

 問題は第三の矢です。ここには規制緩和などの新自由主義的な政策が多くあります。零細業者にとって規制緩和は利益をもたらしません。

 また円安も材料費や電気代などの値上がりを招いて公明党共産党の支持者には不興でしょう。輸出を中心とする大企業とは支持基盤が違うのです。

 簡単に言えば今回の都議選の結果から考えてこれ以上の大胆な新自由主義的な政策は難しいということです。もし安倍政権がこの政策を推し進めれば、公明党から反発があるはずです。

 さらにこれまで以上に公明党の支持が必要となります。なぜなら無党派民主党を飛び越えて共産党の支持を拡大しています。簡単に言えば民主党も第三極(維新やみんな)は信用できない。はっきり自民党の政策に反対する野党がほしいと無党派の一部が考えているのです。

 今まで維新の会もみんなの党自民党の補完的な役割をしてきました。現実的な政策を打ち出していると考えられて支持があったのです。アベノミックスの結果貧富の差つまり持てるものと持たざる者の差がさらに多いくなったのです。

 今回のアベノミックスというよりその副作用の資産バブルの結果株や不動産を持っているものは短期間に膨大な利益を上げ、そうでない人は電気代や食料品の値上がりに苦しんでいます。また大企業それも輸出産業や金融業、デパートなどに勤務する人はボーナスが上がりました。

 中小企業はもちろん、零細企業に勤務する人は何の恩恵もありません。それにアベノミックスの結果そのような人にも恩恵が来るのは来年以降のようです。秋には消費税が上がり、金利が上昇してローンも大変になります。

 今回の都議選の結果はこのような経済状況も反映していると思います。明日は銀行まわりです。