新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

近き慮りなければ、遠き憂いありー経済編

今日も暑い一日でした。去年よりかなり早く夏日になった気がします。おじさんの勤務する学校は来週の水曜日まで授業です。ですから後1回授業があります。

 株価もドルもボックス相場になって変化はありません。持ち株は利益も少しはあるのですが、以前書いたとおり少しの利益で売却するつもりはありません。長期保有の構えです。

 ところで、参議院選挙は与党の大勝のようで何の面白みもありません。どんな勝負でも力が伯仲していなければおもしろくありません。選挙というのに、街にでても全く動きはありません。選挙カーもほとんどみかけません。以前はよくかかってきた某宗教政党からの投票依頼の電話もありません。

 さて、今日のタイトルを見ておやと思った方もあると思います。これは中国のある有名な言葉をもじっているのです。本当は「遠き慮りなければ近き憂いあり」なのです。「遠慮」という言葉の語源なのです。

 今は逆で、すでに近き配慮が必要な時です。問題の核心はアベノミックスです。もちろん日本だけの問題ではありません。中国においても成長率に翳りが見えてきました。中国政府が過剰な投資にブレーキをかけたことも原因の一つです。

 ヨーロッパの経済危機も今のところ静まっていますが、いつ再発するか分かりません。中国経済の翳りは日本の保守派の人にとっては、ざまを見ろというところでしょうが、そんな簡単なことではありません。グローバル化した現代社会では、一国の経済危機は世界中に波及するのです。

 ギリシャ危機を思い出していただければ分かると思います。中国の経済規模はギリシャなどとは比較になりません。中国だけでなく新興国全体の経済が傾きつつあります。震源地はアメリカです。アメリカの経済回復で資金が新興国からアメリカに移動しているようです。

 ただアメリカの景気回復も世界経済をけん引するほど強くはありません。アベノミックスの異次元の効果も薄れてきました。アベノミックスはとりあえず円安を招いたので、輸入品の上昇を招きました。まさに狙い通りの物価上昇です。

 しかし、これが賃金の値上がりにつながらなければ庶民の生活に打撃を与えます。インフレになった上に消費税が上がり、賃金は上がらず金利だけが上昇したら、さらに庶民生活に打撃を与えます。おじさんのような年金生活者は大変です。

 今回の選挙はとりあえずアベノミックスを継続させようという国民の意志の表れでしょう。ただおじさんの常識的な考えでは、残念ながらアベノミックスが庶民に好影響を与えるとは考えがたいのです。円安で利益を得るのは輸出産業だけです。

 利益を得た輸出産業が賃金を上げるとは考えがたいのです。なぜなら輸出先の中国やその他の新興国、ヨーロッパの景気が先行き不安だからです。円安にしても、中国が経済不況のため高くなっているアメリカの国債を売却する可能性もあります。

 そうなればドル売りが起こりますので、それにともなってドル安円高が復活する可能性もあります。ヨーロッパの自動車産業はご存じの通り相当な数の自動車を中国に輸出しています。中国の景気が減退すればヨーロッパの自動車産業も影響を受けるでしょう。

 日本国内では少子高齢化がさらに進みます。解雇規制の緩和をすれば若者の雇用が増えると主張する人もいます。そんなことはありません。中高年を解雇し社内失業者を一掃した後、残った人をサービス残業させるだけです。

 人が余っている産業から人が不足している産業へと労働力を移動させるべきだと主張する人もいます。ちょっと考えれば分かることです。今人手が不足している産業などあるでしょうか。それも高給をもらっていた中高年を雇ってくれる産業などありません。

 今人を求めている産業は人気のない産業かブラックと呼ばれる企業群です。なぜなら人がどんどん辞めるから不足しているのです。中高年を一掃した企業の利益は増えるでしょう。企業栄えて労働者枯るです。

 まさに今慮り(深く考えること)がなければ将来憂いを招くことになります。と言ってもおじさんのような非力な人間が何を言っても効果はないでしょうけれど。明日も家の仕事でいろいろ忙しいです。