新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

ヨセフさんを知っていますか。ー有能な官僚のモデル(手本)として

今日も真夏日です。今日は日曜日で教会に行き、午後は教会に引き続いて所用で外出し、午後4時頃帰って、それから選挙に行きました。

 シャワー浴びて一息ついてこれを書いています。選挙結果は事前報道の通り与党の大勝利でしょう。野党勢力が既成野党の他に第三局もあってばらばらに選挙戦を戦ったのでは与党に勝てるはずはありません。

 それに、原発をどうするかとかTPPをどうするか、さらには憲法改正をどうするかと言ったかんじんの問題は争点になりませんでした。アベノミックスによって景気がよくなればよい、ねじれで何も決まらないのにはもう飽きたと言ったところが今回の選挙の気分でしょう。

 政権交代で新しい時代を作ろうというような気概もなくなりました。国民も改革改革に飽きて、平穏無事以前の安楽な生活を望んでいるのでしょう。それはそれで国民の選択なのでよいのですが、現在日本が抱える問題(少子高齢・財政赤字格差社会原発再稼働など)や国際情勢(新興国の景気減退・ヨーロッパの経済不安・中東の政治不安・アメリカの景気の停滞)などから考えてアベノミックスと憲法改正で抜本的な解決になるとは思えないのですが。

 そんな現実的な話はやめて、今日は日曜日なので教会ネタ(聖書ネタ)です。毎回書いていますように、キリスト教も含めて宗教が嫌いな方はブログを読むのをパスして結構です。

 今日のタイトルの「ヨセフ」さんは新約聖書に出てくるイエスキリストの父親のヨセフさんではありません。旧約聖書(創世記)にでてくるヨセフさんです。旧約聖書一番の有名人はモーセでしょう。日本でも以前「十戒」という映画が上映されたので、見た方も多いと思います。

 後はダビデあるいはソロモンと言ったところでしょう。モーセ十戒モーセイスラエルの民を率いてエジプトから脱出したところから始まるのです。旧約聖書では「出エジプト記」と言われる個所です。ところでなぜイスラエルの民がエジプトなどにいたのでしょうか。

 戦争に負けて捕虜になって連れていかれたのでしょうか。そうではないのです、イスラエルの民がエジプトに住むようになったのは、このヨセフさんからなのです。それ以前イスラエルの民の基になる人たちはシナイ半島に住んでいました。

 ヨセフさんの父親はヤコブさんで、ヤコブさんの父親はイサクさんでその父親がアブラハムさんです。アブラハムさんはユダヤ教キリスト教イスラム教いずれにおいても信仰の父と仰がれています。

 アブラハムさんのひ孫にあたるヨセフさんには沢山の異母兄弟がいました。その中でヨセフさんは下から2番目の子供です。おかあさんはヤコブさんから一番愛された女性だったのですが、ヨセフさんの弟を生んだときお産で死にます。

 お父さんのヤコブさんは不憫だし、年をとって生まれた子だし、賢い子供であったのでヨセフさんをかわいがります。しかし、他の兄弟が恨まれてだまされて奴隷としてエジプトに売られるのです。

 さて今日の副題は「有能な官僚のモデル(手本)として」ですが、それと奴隷に売られたヨセフさんとどんなつながりがあるのでしょう。実はヨセフさんはエジプトのある高官の家に奴隷として売られます。しかし、有能な官僚としての素質を持っていた彼は瞬く間に主人の信頼を得ます。主人は外国人の奴隷なのに「ヨセフに目をかけて身近につかえさせ家の管理や全ての財産をヨセフに任せた」(創世記39章)とあります。

 これだけだと彼の官僚として有能さがまだ分かりません。たまたま主人に気に入られたのかもしれないでしょう。彼は「顔も美くしく、体付きもすぐれていた」ので主人の奥さんに好かれてしまいます。そして奥さんから「私の床(ベッド)に入りなさい」(前掲書・・前と同じ個所も意味です)と誘われるのです。

 ここで奥さんの誘惑に乗ったら彼の人生は終わったでしょう。彼は奥さんの誘惑を断るのですが、怒った奥さんに濡れ衣をきせられ牢屋に入れられます。ヨセフさんのすごいところはここからです。彼は牢屋の監守長に目をかけら「監獄にいる囚人を皆、ヨセフの手にゆだね、獄中の人のすることはすべてヨセフが取り仕切るようになった。」とあります。

 奴隷として売られたら主人から家産の管理を任され、監獄に言ったら今度は囚人の管理を任されるのです。そのためには、ヨセフに官僚としての能力が必要でしょう。商売の巧みさでは囚人を管理できません。どこの国でも牢獄は行政機関(法執行機関)だからです。

 その彼は牢獄で二人の王の家来と会います。そして彼らの夢を占ってやるのです。ここでは彼は夢占い(予言)さえ可能な人間として描かれます。この時代夢は重大な未来の啓示だったのです。旧約聖書にはしばしば夢とその判断のが描かれています。

 そのうちの一人は無事釈放されるのですが、その時ヨセフさんは、あなたが元の地位に戻ったら私をここから出してくださいと頼むのです。しかし、人間はいいかげんなもので、すぐ約束をその家来は忘れてしまいます。それから2年後、今度は王が不思議な夢を見るのです。その夢を読み解く者はエジプトには誰もいませんでした。その時あの家来は自分の夢占いをしたヨセフを思い出すのです。

 ヨセフは見事に王の夢を読み解いて王はヨセフを「エジプト全国の上に」たてたのです。ファラオは自分の指輪や衣服、首飾りまで与えます。人々はヨセフを見て「アブレク(敬礼)」と叫ぶのです。こうしてヨセフは奴隷の身からエジプトの宰相となり、エジプトと周辺諸国に起こった大飢饉を乗り越えるのです。

 それでは出エジプトとヨセフさんの話がどうつながるのでしょうか。エジプトに移住したヨセフさんたち一族はエジプトで一大勢力となるのです。しかし、「ヨセフのことを知らない新しい王」がでてきて、エジプト国民にイスラエル民族がエジプト人の脅威になる可能性があると警告するのです。

 結果イスラエル民族に対して「強制労働の監督を置き、重労働を課して虐待」するのです。そこでモーセが立ち上がって約束の地を求めてエジプトを脱出することになります。(出エジプト記1章)

 奴隷の身から大国エジプトの宰相まで上りつめたとはすごいですね。オバマ大統領をほうふつとさせます。しかし、オバマ大統領は官僚のステップを踏んだわけではありません。

 結論 優秀な管理能力のある人はどのような境遇であってもその能力を発揮し、それなりの待遇を受けるものなのです。不遇なのは、やはりそれだけの能力しかないのでしょう。

 明日は教会関係資料の整理をします。