新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

最近の事件に思う

今日は曇り空だったのですが、相変わらず暑かったです。木曜日くらいから雨が降るかもしれません。株式相場や外国為替相場に大きな動きはありません。

 そういえば参議院選挙が終わって2日目なのに、全く選挙の余韻はありません。そもそも、参議院選挙の期間中でもほとんど選挙カーもみませんでした。小泉郵政選挙政権交代選挙の時は皆選挙の話でもちきりだったのですが。投票率が低かったのも分かる気がします。

 さて、今日はおじさんのブログでは珍しい事件ネタです。最近起こった二つの事件について書きます。その二つの事件は共通する部分もあれば共通しない部分もありますが、気になったので書きます。

 まず最初は数週間前に起こった宝塚市の市役所放火事件です。もうひとつは昨日起こった山口の放火殺人事件です。まず共通するのは60代の人が起こした事件です。それから仕事が職人さんで、最近は仕事をしていなかったということです。

 さらに、二つの事件ともこれまでの常識では考えられない事件なのです。宝塚の場合、白昼堂々と市役所に乗り込んで、放火し、その後も悪びる様子もなく、やられても仕方ないのだとうそぶいている点です。山口の事件の場合、15人しか住んでいない集落で5人もの人が殺されたことです。さらに奇妙な張り紙があったりもしている点です。

  また報道によれば、二つの事件とも犯人の人はそれまで腕のいい職人さんだったと言うことです。若いころは職人さんとして活躍したのでしょう。山口の犯人の人は、20年近く前神奈川県から帰ってきたそうです。20年前といえばバブルの頃に神奈川県にいたのでしょう。

 そのころは不動産はブームでしたから腕の良い職人さんは引く手あまたで収入も良かったと思います。ところが、報道によれば親御さんの介護のため地方に帰ってきて、小さな集落で暮らしていたようです。

 若かった頃栄光に満ちた人生を歩んだ人は年配になって仕事ができなくなり、周りから孤立していくなかで何か不満のようなものが蓄積していったと思います。宝塚の事件の犯人にも共通しています。

 山口の事件の場合年齢がおじさんたち団塊の世代に少し重なります。あの時代、まだ進学率も高くなく、手に職を持つことが奨励されました。宝塚の犯人もそうだったと思います。

 現代は全く時代が変わりました。高学歴社会になって、手に職をつけるより勉強で生きていくことが勧められる時代です。また建設業界を中心に仕事が減りました。復興景気にわく東北は別としてそれ以外の場所では仕事がそれほどないと思います。

 職人さんはほとんどが国民年金だけだと思います。昔はそんなに長生きしなかったので、職人さんも年金の心配などしなくてよかったのです。また軽い仕事も結構あったので、70歳代まで仕事ができました。建築も木造建築がほどんどで、職人技が生きたのです。

 今はマンションやハウスメーカーのもので、職人技より効率よく決められた仕事をなしとげることが求められているようです。それにデフレで経費削減のあおりを受けて労賃も昔に比べて相当下がっていると思います。

 これらの事件の裏側を何となく考えてとてもつらくなりました。今社会は起業だとか労働力の流動化などと言っていますが、まさに恒産なければ恒心なしです。
 
 長期に勤務できる仕事もなく、低賃金で年金にも加入せず、親の家に住んで親の収入や年金で暮らしている若者の将来を考えると今回の事件は他人事ではないように思えてきました。

 明日は授業です。(夏休み前最終授業)