新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

前門の虎・後門の狼(2)ー国際政治編

今日は雨が降るとの予想でしたが、すっかりはずれました。と言っても夜から雨になるのかもしれません。今日は朝からクーラーを設置に来てもらいました。

 うちのクーラーは年代もので20年くらい前のものでした。おまけにリビングが14畳くらいあるので、工業用にしました。ところが、大型なので電気代がかかり、去年くらいからスイッチが壊れてしまいました。古い型なので在庫もなく、とうとう今年買い換えることにしたのです。

 娘の友人の方の経営する会社で設置してもらいました。さすが量販店と違ってとても丁寧に対応してもらいました。そうそう買い換える商品ではないので良かったと思います。

 さて今日は安倍政権の前に存在する問題についての2回目です。そもそも国際政治は選挙の対象にはなりにくいので、選挙中もほとんど議論されませんでした。どの政権が担当しても目の前に存在する問題は変わらないのです。

 一番大きな問題は近隣諸国との関係改善です。特に重要な韓国・中国との関係が冷え切っています。中国はいざしらず、韓国との関係改善はアメリカも強く望むところです。今極東アジア最大の問題は北朝鮮問題です。カギは中国ですが、中国は一筋なわではいきません。

 少なくとも日米韓三国が連携して当たらなければ全く効果がないでしょう。対中国問題にしても同様に日米韓の三国が連携する必要があります。ところが日韓の関係は全く改善されていません。それどころか、保守派の人に嫌韓感情が広がっています。そのことが韓国を中国寄りにしているのです。

 保守派の人を支持基盤とする自民党としては安易な妥協は保守派の支持が失うことになります。ブログを見ていてもこちらが恥ずかしくなるような蔑視観に満ちた書き込みがあります。ブログに対するコメントで良く見かけます。

 戦前ならアカとか主義者(社会主義者)江戸時代ならバテレンとかキリシタン、耶蘇などが相手をひぼうする言葉でした。今は社会主義者がいなくなったので、韓国人に対する蔑称が相手を攻撃する言葉に使われています。

 おじさんとしてはちょっと心さびしい感じです。日本人の中には戦前から大陸国家への蔑視観がありました。多分近代化にアジアで日本が一番最初に成功したのに、他の国は遅れたからでしょう。西洋やアメリカに対する劣等感の裏返しだと思います。

 経済的に豊かな国が貧しい国を蔑視するのは仕方のないことですが、ネット社会になって匿名で仮想空間であるために一気に噴き出したような気がします。コメントなどで韓国や中国への蔑視観をあらわにする人でも、現実に出会ったりしたら決して口にしないと思うのですが。

 このような感情がネットや社会一般に流れているかぎり韓国との関係改善は難しいでしょう。ドイツが一切弁明しないと好対照です。(ナチス出現の遠因は過大なベルサイユ条約の賠償にあるのは明らかなのですが)

 今逆にしきりに東南アジアへの進出を試みているようです。フイリッピンへ巡視船を10隻くらい輸出するようです。中国との領海問題で困っているからだそうです。ご存じの方は少ないと思いますが、実は昔フイリッピンには巨大な米軍の基地があったのです。

 もしそのまま米軍の基地が残っていたら中国も露骨にフィリッピンの領海に手を出さなかったでしょう。その米軍基地はフィリッピン側の要求に基づいて返還されたのです。

 もちろん米軍戦略の一環でもあったのでしょうが。ただフィリッピンが中国のために困っていてもアメリカが何かしてくれたという話は聞きません。またフィリッピンは日本にこそ期待していますが、アメリカに何か期待している様子がありません。

 もしかしたら、以前のいきがかりがあるのかもしれません。沖縄の米軍基地が完全移転したら、フィリッピンと同様なことが起こるかもしれません。ただその時は日米安保条約もなくなっているので、誰も助けてくれないでしょう。ロシアも韓国もアメリカから見捨てられた日本を助ける気はないでしょう。

 ところでフィリッピンは巡視船を10隻も購入して運用できるのでしょうか。1隻につき予備要員や船舶補修要員も含めれば100人は必要です。10隻で1000人の新規の海上保安官が必要です。また船舶運用の経験も必要です。もしかしたら日本の海上保安庁から顧問として派遣されるのかもしれません。

 TPPについても情報が錯綜して本当のところが分かりません。ほとんど条約内容が決まっていないという説とほとんど決まっていて日本が入る余地はないという説です。TPPは情報管理が厳重で内容をリークしにくいようです。ただアメリカが自国に不利な条約を結ぶとは考えがたいので、日本にとっては厳しものになるでしょう。

 安倍政権の本質が保守主義とくに戦前の日本に対する評価(歴史認識)が他の東アジア諸国と異なる点が関係改善を難しくするでしょう。究極の保守主義へと進むなら東アジア諸国だけでなく、肝心かなめのアメリカとの関係が悪化する可能性があります。

 保守派の人はどのように考えているか分かりませんが、現在の繁栄した日本と作ったのはアメリカだという自負はどこかにアメリカ政府にはあると思います。日米同盟を主張する一方でこのことを忘れるならいつしっぺ返しが来るかわかりません。

 日米同盟がなくなれば、中国にとって怖いものなしです。たとえ日本が核武装しても怖くはありません。日本のように大都市に人口が密集していれば、核攻撃で一気に壊滅できるでしょう。日中戦争の時、首都南京を失った国民政府は内陸部の重慶まで首都を移しました。

 日本で東京が核攻撃を受ければ国家機能は壊滅するでしょう。中国で北京が核攻撃を受けても、上海や南京その他の大都市が全く無傷で残ります。また地方の省長や大都市の市長クラスになれば日本の大臣クラスの人物がぞろぞろいます。

 主席や首相の代わりはいつでも務められます。それに兵力にしても、徴兵制を引いても現在の人口構成では1世代(20歳)男性全員を兵隊にしても50万人です。これでは中国大陸に攻め込んで戦争できるはずもありません。日中戦争では確か100万人単位で動員したはずです。

 安倍政権がどのような国際政治を展開するか分かりません。強硬政策を行えば関係改善は難しいし、妥協すれば弱腰となじられ保守派の反発を買うし、そのまま放置すればアメリカの不興を買います。

 ここでも安倍政権の苦悩があるはずです。明日は教会です。