新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

財政赤字をどうするの。-安倍政権の課題

 今日も真夏日でしたが、午後から夕立になりました。おかげで庭の水撒きも不要になりありがたいです。今日は特段の用事もないので、試験問題作りです。2年生の分がほぼ終わりました。

 株式相場は少し戻しかけたものの中国の株式相場の混乱で安値引けでした。これで盆休み中の相場は終わりです。おじさんが以前予想した通り13500円台から14500円台の間のボックス相場です。

 海外の情勢には目が離せません。エジプトの混乱は収まりそうにありません。エジプト情勢を受けて原油相場が上昇しているようです。これに円安が加わってガソリン価格の上昇が懸念されます。世上ではインフレ期待論が強いようですが、給料が上がらない限りインフレは庶民の敵です。

 本当にインフレがひどかった時代を生きたおじさんとしては若い方にインフレ待望論者が多いのにはびっくりします。給料が上がらないならデフレの方が絶対にいいのです。

 さて今日は財政赤字について書きます。安倍政権は今夏休みなのだそうで政治的な決定をしていません。全ては秋に決まるようです。最大のテーマは消費税です。これがはっきりしないので株式相場も不安定のままです。

 もし消費税を延期し財政支出政権公約の通り実行するならさらに財政赤字が増えるでしょう。それに誰か知りませんが法人税減税をするなどと言っているので、それが実行されたらさらに赤字幅は拡大するでしょう。

 ところで誰が言ったのかはっきりしないうちに麻生さんや甘利さんは法人税減税を否定しました。安倍政権はこんな重大な問題について閣内で意見の統一ができていないのでしょうか。

 麻生さんは消費税値上げ論者です。立場から言えば当然だと思います。ただ党内には慎重論や延期論が根強いです。ここで安部さんがひるむようでは財政赤字はさらに拡大するでしょう。

 財政赤字が1000兆円を超えたようですが、取りあえず財政赤字縮小の流れはありません。方向性が見えないまま進んでいます。赤字削減には税収を増やすか財政支出を減らすか、両方をやるかです。国債は全て国内で消化しているので、いくら赤字になってもかまわないという意見もあります。

 さらには国が存続する限り国債は順次借り換えていけばよいので、赤字は恐れるに足らないという意見もまります。確かに今現象としては財政赤字が問題とはなっていません。赤字幅が拡大したからと言って国債金利が上昇するわけでもないのです。

 それだけを見れば安心論が有力に思われますが、全ての現象は道理つまり常識によって動くものだと思います。株式相場でも余りに常識からはずれた動きがあれば結局は常識的な範囲へと落ち着くものなのです。

 不動産神話と財政赤字神話は良く似ています。国内の状況だけを見て判断しているのです。その前提条件が崩れた時恐ろしい下落が起こるのです。不動産神話では日本は人口が多いのに国土が狭い、そして日本人は一戸建てを好む、だから不動産価格は下落しないと言われたのです。

 ところが大前提の人口が多いから人口減少社会になりました。特に地方ではどんどん人が減っているのです。財政赤字神話の前提は日本国内でのほぼ全て消化ができていると言うのです。購入している中心は銀行です。

 なぜ銀行が国債を購入するかと言えば安定的に収入を得られる先が国債だけだからです。もし他に優良な投資先が見つかれば国債を購入せずそちらへ投資するでしょう。つまり、国内に優良な投資先がないから国債を買っているのです。

 皮肉なことにアベノミックスが成功して企業活動が活発になり銀行がどんどん企業に貸し出すようになれば、そちらの方が収入が多いので国債を買わなくなるでしょう。そうなれば国債金利を上げて銀行に買ってもらわなければならなくなります。

 また銀行の活動の原資である預貯金も高齢化によってどんどん引き出されていくでしょう。年金支給が遅くなればますますその傾向が強まります。年金額が減少し医療費の自己負担が増加しても同じことが起こります。社会保障改革で国の社会保障費を減額する方向へ向かえば、高齢者は生活のために預貯金を取り崩すだけです。

 こうして財政赤字を支えている国内の銀行が国債を買えなくなれば条件を良くして海外の投資家に国債を買ってもらわなければなりません。そうなるといつギリシャ状態になるか分かりません。

 中国などがどんどん日本国債を買えば外交的にも難しくなるでしょう。どうも経済成長さえ達成すれば財政赤字などすぐ解決すると安倍さんは考えているようです。安倍政権では財政赤字への危機感が薄いようです。

 遠き慮りなければ近き憂いあり、また災害は忘れたころにやってくるものなのです。東北大震災は一部の地方だけでした。それに世界中の同情も引きました。しかし、日本の財政が破たんしたらそれは日本全体の問題です。それにどこの国も同情してくれません。

 財政赤字を放置した政府を非難するだけです。尖閣列島をめぐって中国と戦争するより日本の財政が破たんする方がはるかに確実だと思います。なぜなら尖閣列島をめぐる問題は中国政府が自重すれば起こりません。しかし、財政崩壊はすでに始まっているのです。

 明日は娘や孫たちが来ます。