エジプト動乱の波紋
今日はこれまでと大違いで大雨になりました。と言ってもおじさんの地方は山陰や北陸ほどではありませんでした。それに今はやんんでいます。
さて今日はエジプト問題について書きます。数年前起こったアラブの春の流れがエジプト動乱で一気に変わった気がします。それまでは民衆がデモをし現政権が打倒され新しい政権が成立するものでした。
それに新しくできた政権はイスラム教の影響の強いものでした。エジプトも最初は民衆の力によって軍の力が後退し政権が倒れました。その後イスラム色の強い政権が誕生し、今度はその政権に反対するデモが起こり最後は軍が再び政権を掌握したというのが今までの経過です。
イスラム色の強い政権に対して世俗勢力がデモをすると言うのはエジプトだけではありません。イランでもトルコでも起こりました。その中でエジプトだけが世俗派と組んで軍が政権を取り戻したのです。
エジプトの政変の特徴は一旦政権を失った側が政権を取り戻し、それだけでなく以前政権を握っていた勢力を追放した点です。中東ではシリアが少し似ています。シリアでは反政府側が政府側を追い詰めることができません。他の中東諸国ではヨーロッパの支援が反政府側にあった点もエジプトやシリア動乱と違います。
今回のエジプトにしてもシリアにしても反政府側への積極的な支援がありませんでした。もしかしたら、反政府側を支援することがイスラム勢力拡大の手助けにしかならないと先進国が気付いたのかもしれません。
中東では軍とイスラム教しか全国組織はありません。エジプトやシリア、トルコなどを除けば中東で強力な軍隊を持っている国はありません。米国も中東最大の軍事力を持つエジプトがイスラム勢力の手に入るのを嫌っているはずです。実際ガザ地区でのイスラム勢力の動きをエジプトの軍事政権を抑えにかかっているようです。
中東ではエジプトとイスラエルが並はずれた軍事力を持っています。どちらも数次の中東戦争を得て実戦経験が豊富です。イランのもかってイランイラク戦争を戦いましたが、いわゆる中東戦争などに比べると問題になりません。
エジプトの軍部が強気なのは世俗派とくに都市の中産階級がイスラム勢力を嫌っているからでしょう。イスラム勢力の手にエジプトが陥るくらいなら軍と結んで世俗政治を願う気持ちが強いと思います。エジプトの歴史はイスラムの歴史よりはるかの古いのですから歴史的にみても当然でしょう。
イスラム勢力を中心とする政権の最大の問題は政権運営能力に欠けていた点です。いくら選挙で選ばれても政権担当能力がないものが政権を担当すると問題が起こるのです。。問題というよりひずみと言ってもいいでしょう。
日本での政権交代が混乱をもたらしたのは記憶に新しいです。これは中国崩壊論にもつながります。現代はグローバルな時代なので、エジプトの例や日本の例は中国でも大きく報道されています。つまり政権担当能力の問題を解決しなければ、不満があるからと言って国内で騒乱を起こしてもかえって問題を大きくするという教訓です。
中国の場合行政能力を持つ優秀な人材(高級官僚から一般の役人まで)は共産党員以外にいません。以前書きましたが、大学でも優秀な教員は皆共産党員でした。逆に言えば優秀な人材を積極的に共産党に加入させているのです。
かってイラクではバース党という政党がその役割を果たしていました。ところがアメリカがバース党を嫌ってその党員を政権や行政、教育などの分野から排除しました。その結果政権や行政、教育分野で運営経験のない素人が担当し、混乱を大きくしたのです。
おじさんが知っているくらいですから中国の知識階層や中産階級はそれを知っています。共産党の腐敗は事実だがそれなら民主党派に政権が担当できるかと言えば、13億の人間と複雑な民族構成と広大な国土を政治経験なしに行うのは困難です。
多分政権担当能力のない勢力しかいない中で中国が崩壊すれば今以上の混乱をもたらすだけでしょう。中国の国民もハードランデイングではなくソフトランデイングを望んでいると思います。
明日は教会で礼拝説教をします。