新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

倫理と経済ー倫理を守ることの経済的意味

今日も晴天です。ところで昨日から山間部の温泉へ行ってきました。水曜日に突然思いついて、電話したところ空きがあって、木曜日から行ってきました。民宿で部屋に露天風呂がついています。それで一泊二食付きで一万円以下です。

 お風呂も大浴場ではなく、家族風呂が5つくらいあります。結構大きな風呂で家族4人くらいなら十分でした。と言ってもおじさんとツマクマの二人で行きました。ちょうど試験中で授業もないからです。平日なので4家族しか来ていませんでした。

 同宿の方もお嬢さんとお母さんとか定年されたご夫婦が中心でした。平日に民宿に行くのはそんな方ばかりでしょう。行きも帰りも途中で道の駅などに立ち寄ったり、名所を訪ねたりで結局本来なら3時間くらいのところを5時間くらいかけました。

 昨日は朝8時に出発し午後3時到着、今日は朝10時に出発して午後4時到着です。とてもよい民宿で満足しました。ところで株価は昨日は上昇、今日はやや下落でした。やはり15000円台突破となると難しいようです。アベノミックスバブルに続いてオリンピックバブルで上昇傾向なのでしょう。

 一方では現実経済はそれほどでないし、消費税値上げの影響も考えられますから、利益確定売りもでるのだと思います。おじさんの持ち株も一部売却予定価格に近付いていますが、様子見です。

 さて先日おもしろいニュースがでていたので、それについて書きます。タイトルの通り倫理や道徳と経済特に経済的利益の関係です。おじさんたち教師は子供たちに倫理を守るように指導します。しかし、世の中の大人の大部分は倫理など意味がないと考えています。

 倫理は建前で社会では本音だと考えているのです。ですから正直者はばかを見るなどという言葉もでてくるのです。馬鹿正直も要領の悪さを示す言葉です。反面清濁併せのむのような生き方が理想とされます。

 しかし、先日の調査では倫理を守る方がはるかに高収入を得られるという結果がでていました。これは今回の調査より以前から言われていたことです。20年くらい前になると思いますが、フランシスフクヤマの「トラスト」という本を読みました。

 トラストとは信頼という意味です。信義といってもいいでしょう。その中で一番印象に残っている内容は、信頼度の高い社会は低コストの社会で競争において信頼度の低い社会より圧倒的に有利だという著者の考えです。

 たとえば日本のような他者に対する信頼度の高い社会では個人でも企業でも欧米のように弁護士を雇って契約書をかわさなくても、ほとんどの場合困ったことになることは少ないです。銀行などでも欧米のように警備員を何人も雇わなくてもいいです。品質についても信頼度が高いので、購入側が再調査する必要も少ないです。

 今回の調査でもあるように、うそをつかない人間が大勢いる社会では、相手を信頼して仕事をすることができます。個人でもうそをつかいなら安心して仕事を任せられるでしょう。もし相手がうそをつく人間だとしたら、取引先はその人間と取引することを避けるでしょう。

 企業であればうそをつく人間を雇用することで取引先の信頼を失い損失を被るはずです。当然企業はそんな人間をクビにします。

 次に他人に親切にするはどうでしょう。一見すると企業のような競争社会では不要な気がします。ところが現実にはそうではありません。倍返しという言葉が今大流行です。不正をしながらそれを指摘する部下にひどいことをして、その仕返しを受ける話しです。

 逆であれば有りえないことです。相手に親切にしてもそれの倍返しは来ません。せいぜい普通かあるいはちょっとお返しがあるくらいです。おじさんの経験でも相手に10親切を与えても返ってくるのはせいぜい1か2です。しかし、その1か2が大切なのです。

 実はおじさんの経験でもそうですが、ここ一番の時の1が効くのです。なぜならそれは、本気の1だからです。どうでもいい付き合いの1など大して役に立ちません。野球でもそうです。一打逆転のチャンスでの内野安打は意味があります。

 10点差でホームランを打っても意味がありません。上司がどちらを承認させようかと思っている時、そうだあの人の部下に評価を聞いてみようとします。普段から親切にしている人をほめるのは当然です。普段いじわるをしている人をほめる義理はないのです。ここぞとばかりに悪口を言うでしょう。上司はその人の部下の本音を聞きたいのです。

 不親切な人でいい人は少ないです。ただし親切と甘やかすは違います。大人であればすぐ分かります。自分が本当に困った時に手助けしてくれるのが親切な人です。たとえば子供さんがいる女性で、急に子供さんが熱をだして保育所に迎えに行かなければなりません。大事な仕事があったとします。ただ別の人がしてもよい仕事だとしましょう。

 そんな時、だから子持ちは困るんだよねといいながらしぶしぶ代わってやる人といいですよ。うちのセクションは家庭優先仕事その次です。家庭が心配だとよい仕事はできません。自分も子供がいるので大変さはよく分かります。子供さんが悪いようだったら明日休んでも私が代わってやりますから。と言った人とどちらが親切なのでしょう。

 子供を抱えた方も子供が大きくなれば病気もしなくなります。もしかしたら女性ながら上司になるかもしれません。そんな時、困るんだよねといった人にどんな気持ちを持つでしょうか。残念ながら人間は理性でなく感性つまり感情で生きているのです。

 ルールを守るはうそをつかないと同じです。時間を守る、決められた規則を守る、秘密を守るこれらは社会人の常識です。約束の期限を守らず、規則を平気で破り、ぺらぺら言ってはいけないことを他人にしゃべる人は信頼を失います。そのような人を雇用するのはコストがかかることになります。

 最後に勉強するです。これは学校だけではありません。社会でも勉強の連続です。採用試験に始まり、昇任試験などいろいろあります。またペーパーテストだけでなく、失敗から何を学ぶかも大事です。

 最後に以前書いた家庭の教育力というのはこれらの項目を子供に伝えられるかです。お金は使えばどれだけあってもすぐなくなります。しかし、うそをつかいない、他人に親切にする、ルールを守る、勉強をするという徳目を守らせるなら将来お金をいくらでもお金を得ることができます。。財産があっても徳目を学ばなかった子供はお金を失っても再び得ることはできないでしょう。

 親がそうでなければ子供もそうならないからです。困ったことに、その4つの徳目を守る親は当然のことながら、守らない親より高収入つまり経済的余裕があるのです。もし親に経済的余裕がなくても子供は競争で有利な立場に立つことができます。

 悪は栄えないという言葉は以上説明でもできます。なぜなら悪はとてもコストがかかるのです。うそをつき、人に不親切でルールを守らず、勉強もしない人ばかりの社会が栄えることは難しいです。悪が栄えるためには正しい人から収奪するしかないのですが。嘘をつきルールを守らず、不親切で思いやりがなく、勉強もしなければ、あっと言う間に正しい者の社会に打つ負かされるでしょう。

 今回の調査の結果は極めて当たり前の結果なのです。逆にうそをついて他人に不親切で、ルールを守らず、勉強もしない人の収入が多かったら学校教育は破たんします。明日からいよいよ採点開始です。