新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

解雇規制緩和特区で働く人ってどんな人

今日も晴天です。いつ雨が降ったのか忘れるほど晴天が続いています。台風は関東の方に行くようですから、今週も晴天でしょう。

 今日はお彼岸ですが、昨日お参りに行ったので、仕事(採点)をして過ごしています。注目の堺市長選挙は現職が有利なようです。まあ大阪都になれば堺市がなくなるのですから、おじさんが地元民であったもいやです。仕事が大阪市の人は別に堺がなくなってもかまわないと考えているのかもしれません。

 ただ選挙に行くのは地元民それも高齢者の方が多くて、大阪へ通勤している若い方の投票率は低いでしょう。それに民間出身の校長の不祥事が相次いでいるし、先の台風での対応をめぐっても橋下さんへの逆風も強いので、このままいけば維新の候補者の敗北でしょう。

 そうなれば維新の会の影響力特に中心人物である橋下さんの権威が大きく後退します。それは国政へも跳ね返るでしょう。おじさんは橋下さんの考えと違うのでそれでかまわないと思っています。

 ところでネットのブログサイト(アゴラやブロゴスなど)を見ると解雇規制緩和特区に関する記事が出ていました。今日はそれについて書きます。おじさんは公務員で終身雇用の最たるものだったので、解雇規制緩和特区などとは一番縁遠い人間です。

 公務員は基本的に途中で解雇される可能性がないので、雇用保険にすら加入していません。ですから解雇されると次の月から収入が0になります。いわゆる雇用保険がもらえないのです。

 さて解雇規制緩和特区で働くのはどんな人でしょうか。どう考えてもこのような特区で働くとなるとよほど自分の能力に自信がある人でなければなりません。解雇規制が緩和されると言うことは、雇用者側にとって圧倒的に有利ということになります。

 解雇規制がほとんどない業界があります。そこでは雇用者側の評価が全てです。簡単に言えばいやなら別のところへ行ってもらって結構という業界です。その代り能力のある被雇用者には膨大な給与が支払われます。その膨大な給与が魅力なので、参入を希望する被雇用者は後をたちません。

 おまけに第三者が見ても容易に評価ができるのです。コネなど何の役にもたちません。それはどの業界でしょう。そうです、プロスポーツの世界や芸能界です。腕の落ちた選手は自由契約になります。不満を述べても何の意味もありません。芸能人の場合、人気がなくなればそれでおしまいです。

 ホームランもヒットも打てない選手は解雇されます。サッカーなども同様でしょう。それにそのチームがいやなら何年か規定の年数を過ごせば自分を高く買ってくれるチームへ移籍できます。

 しかし、サラリーマンの場合こうはいかないでしょう。たかだか年収1000万円程度では数年で解雇されれば元を取ることができません。年収500万円であっても、終身雇用なら相当な金額を報酬として受け取れます。またそれに比例して年金なども増えます。

 これに退職金などを加えればそれなりに老後も安心です。しかし、年収1000万円であったも3年で解雇、退職金はなし、次の仕事がすぐ見つかればいいのですが、そんな年収をすぐに出せる企業はすくないので、次の仕事を見つけるのが大変です。

 IT産業や投資顧問などの会社をイメージしているのでしょうが、専門職の寿命はとても短いです。8時間労働のしばりもなく、残業代も支払われずほぼ自己責任で働き続けても、会社の都合でいつ解雇されるかわからないとしたら、特区を作ってもどれだけ働いてくれる人がいるでしょう。

 自宅を購入してローンを支払い、子供の学資を負担し、将来老後に備えて貯蓄をするためには、安定した仕事を継続して続ける必要があります。

 特区以外では終身雇用が続いているのに、特区だけ解雇規制を緩和しても、優秀な人材が集まってくるとは思えません。アメリカや中国のように国民自身が企業を信じず自分の能力を信じて生きている国なら別です。

 日本の場合、江戸時代の幕藩体制のように、一度仕官したらよほどでない限り職を失わない終身雇用が向いているのです。日本の場合、社会全体が飛びぬけた能力の人材に年齢や性別、国籍を超えて膨大な給与を支払う習慣がありません。20代で億単位の収入の得るのはスポーツ選手と芸能人だけです。

 スポーツ選手や芸能人の場合、ほぼ完全な雇用規制緩和状態であっても、それに見合うだけの給与を支払っているし、人気や成績が明確なので、不満を言う人は少ないし、社会もそれを承認しています。

 もしスポーツ選手の年収が1契約金なし1000万円くらいだったら、そうはいかないでしょう。それに全国民から注目されるというステータスがあります。これも金銭に代えがたいものです。

 そう考えると解雇規制緩和特区を作ってもそれほど成功しないでしょう。仮にそこに会社を持ってきても、勤務する社員がどれだけいるでしょう。大卒を新規採用しようとしても、まず親がやめておけと言うでしょう。中途退職で入社しようとするとリスクが高すぎてひるむ人が多いでしょう。

 カジノ特区もそうですが、話題のみ先行して結局尻すぼみで終わりそうです。江戸時代250年間は完全終身雇用だったのに、急に戦国時代並みの実力主義に戻れと言ってもそう簡単にはいかないでしょう。

 明日も採点で忙しいです。