新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

大学入試制度改革に思うー学力から人物本位は可能か

今日も晴天です。今日は午前中は庭の草木の手入れのお手伝いをしました。今おじさんの義妹が来ていてそちらのお手伝いです。義妹はツマクマ同様園芸が得意なのです。

 おじさんは園芸は全く駄目です。午後は門扉をやり直す予定なので、業者さんが来ました。ツマクマと義妹はモデルルームへ門扉のサンプルを見に行っています。

 株式相場は引き続き下落状態です。14000円割れ寸前です。異次元緩和もアベノミックスもオリンピック景気も全て化けの皮が剥がれました。5月を境に上昇はストップしています。今年いっぱいは5月の高値に戻ることはなさそうです。

 所詮アベノミックスの約束(デフレ脱却)もプラシーボ効果(偽薬効果)しかありませんでした。新聞報道では東京の百貨店は高額商品が売れて利益が出ているが、地方百貨店は利益が減少しているとありました。また外食産業でも安値合戦が続いているようです。

 賃金値上げを政府が企業に要請しても無い袖は振れないでしょう。収入が増えたのは一部の輸出企業の社員と株式投資をやっている人だけでしょう。(おじさんもその一人ですが)

 さて今日は久しぶりに教育ネタです。政府は大学入試制度を大幅に改革するようです。長年普通高校に勤務したおじさんとしては、おやおや大変ですねという感想です。どうも狙いは学力重視から人物重視へと変換することのようです。

 これは実は困った改革なのです。統一試験を基礎的なものと応用的なものの二本立てにするようです。こんなことをしても、レベルの高い大学はまず基礎的な試験など採用しません。以前高校の教科でも基礎的な教科と応用的な教科を分けたことがあります。

 ところが、基礎的な教科を選択した高校はレベルの低い学校だと思われ、そこの生徒さんも反発して、結局基礎的な教科を選択した学校はほとんどありませんでした。大学でも入学試験で基礎的な試験を採用すれば、あの大学はその程度なのだと思われるでしょう。

 大学を卒業して就職する際も大学のレベル判定の材料にされるだけです。大企業の人事担当者は基礎的な試験で合否を判定する大学からは採用しないでしょう。

 次に人物重視ですが、これは学力重視以上に難しいです。特に理系の場合、どんなに人物的に優れていて意欲関心が高くても、数学や理科の知識が不足していたら使い物になりません。建築専攻で三角関数が理解できない生徒とか材料工学専攻の学生で物理を高校時代に履修していないあるいは知識が不足していたら使い物にならないでしょう。

 ですから理系のそれなりの大学の場合、まず必要なのは学力だと思います。外国語学部などでも語学の能力が不足していれば使い物になりません。何か専門的な学問を学ぼうとしたらある程度以上の学力が必要なのです。

 経済学部でも英語の読解力不足が大きくて外書購読(英語などの外国の文献を読んで勉強する科目)など不可能な大学がほとんどなのだそうです。法学部でも意外なことですが数学の論理的思考が必要なのです。

 経済学部でもミクロ経済やマクロ経済を学ぶためには数学が必要です。確かに社会に出れば大学の勉強はあまり役に立たないでしょう。それよりも人物そのものが大切だと思います。しかし、その人物本位を成り立たせるには大変な時間と労力が必要です。

 おじさんも高校で教えていた頃、推薦入試の面接委員を何度もしました。面接ではとてもよい人物に見えたのに、入学してみたらさっぱりだったことが何度もありました。それに学力入試で入学した生徒の方がはるかに人物としても学力面でも優秀な生徒が多かったです。

 人物本位の入試になれば不合格の生徒の不満が高まるでしょう。現に就職活動で何度も面接で落とされるとひどく落ち込むそうです。学力試験なら自分ができなかったところをやり直して合格を目指すこともできます。しかし、あなたは人物として不合格ですと言われたら相当ショックだと思います。

  それにどうしたら合格するのか方法はみつかりません。たしかに学力本位の試験も大変ですが、そこには客観的な基準もあるし、不合格であっても再度やり直すことができます。今回の改正もすぐ変更されるでしょう。それは受験生や高校側の不満が高まることが目に見えているからです。

 文部科学省は海外特にアメリカの大学入試制度にコンプレックスを抱いているのでしょう。中国や韓国は猛烈な受験競争で学力を向上させました。日本は多分人物本位入試でさらに差をつけられるでしょう。ゆとり教育で失敗したのに文部科学省は相変わらず懲りないようです。

 明日は義妹が帰るので送っていきます。