新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

超訳「小説 日米戦争」を読む

昨日は午前中はツマクマの所用にお付き合いし、帰ったら風邪気味でブログを書かないで寝てしまいました。今日は1日中試験問題作りです。問題は取りあえず完成させていますので、後は解答用紙と模範解答作りです。

 おじさんはドジなので、解答用紙を作っている段階や模範解答を作っている段階で問題の間違いに気づいたりします。それでもう一度問題用紙を作り直したりしています。結局1年生の解答用紙と模範解答ができなくて、明日午後に作らなければなりません。

 授業を教えるのは楽しいのですが、試験問題作りと採点、点数報告は苦痛です。学校によっては、常勤の先生が全てやってくれるところもあるのですが、ここでは自分でやらなければなりません。

 ところで株価は午前中安値でしたが、結局ちょい安で終わりました。日本の投資家は短期投資が多いので、大幅上昇するとすぐに売りがでるようです。アメリカの株価が好調なので、しばらくは上げ相場が続くかもしれません。

 さて先週から学校の図書館で借りた「小説 日米戦争」を読んでいました。今日はそれについて書きます。佐藤優さんの訳です。佐藤優さんは、外務省では珍しい同志社大学の神学部の出身です。簡単に言えば牧師養成機関の出身なのです。

 ちなみに姪のお婿さんも同志社大学の神学部の出身です。彼に聞いたところ別に牧師にならなくてもよいのだそうです。キリスト教文化専攻みたいなものもあるそうです。彼は人材派遣会社で働いています。そういえば、資生堂の元社長さんで東京神学大学の出身者がいました。

 この本は大正9年1920年)に書かれたものです。本当の日米戦争は昭和16年(1941年)に始まりました。これが書かれて20年後のことです。この本を読んでみると当時から日米開戦の可能性が話題になっていたようです。

 現在の状況を考えてみると意外なことがあります。まず日本が同盟したのがドイツなのは分かるのですが、ロシアもそれに加わっています。さらにはブラジルなども入っています。アメリカはイギリス・フランス・オーストラリアと組んでいます。

 読んでみると、南米の力が今より相当高く評価されています。メキシコの動向なども後で書きます。開戦のきっかけは、その後の事情とそっくりです。中国からの撤退と朝鮮の独立を認めるかどうかが争点になったようです。

 現代も中国・韓国の反日運動が日本に大きな影響を与えていますが、それを連想させます。先の大戦では精神主義が主張されましたが、この小説では科学技術が大きな比重を占めています。それに先の大戦では大本営発表のように事実と反する発表がなされましたが、この小説ではしょっぱなから日本の海戦での敗北が堂々と国民に発表されています。

 大正時代まで科学主義がきちんと受け入れられ、国民に事実を発表すること(たとえそれが日本の敗北であっても)が主張されているのは意外でした。このわずか20年後に想像もつかない敗北をきっするのです。進歩というのは時代が進むほど良くなるという思想ですが、日本の歴史をみるとそうでもなさそうです。

 緒戦で敗北した日本は優秀な科学技術で盛り返すのです。それにドイツ系住民が蜂起したりします。現実には第二次大戦中でもドイツ系住民はアメリカ軍として戦いました。ただ日系人が敵性アメリカ人として収容所に入れられましたが、これについては小説の通りでした。

 メキシコがアメリカに宣戦布告するという設定は予想外でした。ブラジルやメキシコといえばまだまだ発展途上と今は思われていますが、当時はアメリカと対等な立場で考えられていたようです。

 開戦直前の日本に比べるとかなり冷静に国際情勢などを分析しています。もしこのような科学主義や国際感覚がその後も続いたら日米戦争はどうなっていたでしょう。ただこの小説でも中国からの撤退と朝鮮の独立は絶対に認められないとしていますから、日中戦争は避けられなかったでしょう。

 いつも書いているように、戦後80年終末説を信じています。今69年目です。もし80年終末説が正しければ残り10年ほどで戦後の繁栄は終わりを迎えるのでしょうか。  

 ナショナリズムの高揚・国防軍構想・秘密保護法・集団自衛権憲法改正とどうも時代は戦争の道へまっしぐらのように思います。
 
 そうでなくても日本大崩落の要素は沢山あります。日米戦争の原因が朝鮮半島と中国にあったように、今の冷え込んだ日中・日韓関係が反米へとつながらないことを願っています。

 もし、反米へと進み、日ロで組んでアメリカに対抗するなら、この本のようになるでしょう。この本では引き分けで終わっていますが、もし第二次日米戦争となれば第二の敗戦になることは間違いありません。当時より中国も韓国も強国になっています。過大評価も問題ですが、過少評価はさらに危険です。

 7年後無事にオリンピックが迎えられるでしょうか。戦前のように幻の東京大会にならないよう願っています。明日は授業です。午後残りの解答用紙と模範解答作りをやります。