新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日中軍事衝突の悪夢ー戦術的勝利と戦略的勝利

今日は温かい一日でした。成績処理も終わり水曜日に2年生の答案を返却すれば一応終わりです。来週の水曜日から後学期(2学期)後半が始まります。次の期末考査は2月下旬です。

 昨日の後場終わり値は結構上がりました。おじさんがブログを書いていた時点よりかなり上昇したようです。アメリカの雇用統計は事前の予想を上回ったようですから、アメリカの金融緩和はそろそろ終わりを迎えるかもしれません。今の株高は金融緩和のおかげですから、それがなくなると変化があると思います。

 来週の株式相場と外国為替相場が注目されます。ところで昨日日米同盟について書きましたが、中国の防空識別圏の問題は、日中軍事衝突の可能性を高めました。

 今日は日中軍事衝突の戦術的側面と戦略的側面について書きます。戦術とは短期の軍事行動です。戦略とは戦争全体を見通した行動です。そもそも軍事力の行使というのは、ある政治目的を達成するために行うものです。人間の闘争本能だけでやるものではありません。

 そんな本能に従っていたら国は破滅してしまいます。今回軍事衝突が起こるとしたら、それは領土をめぐってです。法的あるいは歴史的に日本の固有の領土だと主張しても相手がそれを承認しなければ意味がありません。

 相手にどのようにして自国の主張を認めさせるかが戦略ということになります。尖閣列島をめぐる戦略的勝利とは日本の場合であれば中国が尖閣列島を日本の領土と認め、中国の防空識別圏を日本の主張するように変更し、尖閣列島への領海侵犯をしないと確約することです。

 また同時に中国が二度と尖閣列島へ近づかないようにするだけの手立てを設けることです。しかし、現状を考えればそれが極めて困難なことに気づくでしょう。

 尖閣諸島近海で日中が偶発的に衝突する可能性はあります。中国の無人偵察機が領空内に侵入して、墜落した場合などです。中国側は日本が打ち落としてと主張し、日本は故障で墜落したと主張し場合などです。

 水掛け論に終わって、中国側が強引に無人機を回収するために日本の領海内に侵入した場合、軍事衝突の可能性が高まります日中の巡視船同士がにらみ合い、中国側が排除されたら、今度は軍艦を派遣したりした場合、日本も護衛艦を出すでしょう。

 先に手を出すのは中国側であることは間違いないでしょう。本格的な衝突となったら艦船の性能や乗組員の錬度(訓練の度合い)などから日本が勝利する可能性が高いと思います。

 問題はその先です。中国の軍艦を沈めてもそれは戦術的な勝利であって戦略的勝利にはつながらないのです。尖閣列島で中国側は軍艦を沈められて、全てをあきらめるでしょうか。日本側も軍艦を沈めたことを理由に中国側に先述した約束をさせることができるでしょうか。

 問題は中国側にあります。戦術的敗北を取り戻すためにさらに軍事的攻勢を強める可能性が高いです。なぜなら中国側の敗北を認めることは軍にとっても現在の政治指導部にとっても致命的なことだからです。

 中国はこの戦術的敗北で内部分裂が起こり崩壊すると考える人もあるかもしれません。国家が分裂し、極端な場合内戦となった時、日本は今以上の混乱に遭遇するでしょう。

 ソ連崩壊以上の混乱です。ソ連は崩壊以前からいくつもの共和国の連合体でした。中国の場合はそうではありません。また共産党以外に行政・軍事を担当できる政治勢力はありません。自民党から民主党政権交代した時の混乱を思い出していただければ良く分かります。

 中国には核兵器もあります。崩壊した時どの勢力が核兵器を管理するのでしょう。またチベットウイグル独立運動による混乱もあります。朝鮮半島にも波及します。中国が保有する膨大な額のアメリカ国債はどうなるのでしょう。

 これが市場に出れば、アメリカの財政は破たんします。尖閣列島をめぐる戦術的勝利は戦略的勝利には結び付きがたいのです。中国が崩壊すれば日本の領土問題やその他の問題が解決するわけではありません。イラクや中東諸国での政府崩壊が何を招いたかは御存じの通りです。

 日本の軍事力を強化し、戦争ができるよう憲法を改正しても、戦略的勝利を得ることは難しいです。やはり外交的な努力で長期的な視点に立って解決を目指すしかなさそうです。

 明日は教会です。