新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

学力テスト結果公表について

今日は雨も上がり、午後は晴天になりました。授業も午前中で終わり週末に入りました。株価は昨日書いたとおり150円程度の値上がりでした。

 一時株価が下がったようですが、金余りですから当然買いが入ると予想していました。今のような相場展開だとまさかはないと思います。

 今のところ円安傾向にあるので、いつも書くように日経平均15500円を挟んでの展開になると思います。来週もおじさんの予想ではちょい高で始まると思います。

 北朝鮮では大きな政変があったようです。もう少し様子が分かってから書きます。一つだけ言えるのは宗主国とも言うべき中国には全く相談なくやったようです。対中国関係もこれで相当悪くなると思います。現在の中国でもあんな乱暴なことはしないでしょう。

 さて今日はがらりと様相を変えて教育問題についてです。今問題になっているのは学力テストの成績公開です。県知事クラスの人が公開を主張しているようです。市町村の首長となると意見が異なるようです。教育委員会は反対しているようです。

 もちろんおじさんは反対の立場です。理由は簡単です。学力テストの成績の高低は学校の努力に限界があるからです。知事さんたちはほとんど優秀な成績で学校を終えたと思います。このような人は成績が低いのは学校の努力が足らないからだと思っています。

 橋下さんも苦しい環境の中で努力して成り上がったのでその傾向があります。しかし、世の中の大部分の人はそんなに努力家でも優秀でもないのです。

 それに今の知事さんや橋下さんの時代はまだ個人の努力で何とかなった時代です。子供の頃野山をかけめぐっていて、高校くらいから勉強して大成した人が大勢いました。

 今はそれが不可能です。教育社会学では常識ですし、教師なら皆経験的に知っているのですが、子供の成績のかなりの部分を家庭や地域の環境が影響しているということです。

 昔の言葉にも「恒産無ければ恒心無し」とあります。生活環境が厳しいなかで勉強意欲を持ち続けるのはよほどの人です。それを古典では「士のみ」と言います。士とは、一種の政治的文化的エリートのことです。

 古典はほとんどの人は生活環境が悪ければ意欲関心に欠けると言っているのです。つまり結果だけみて対処療法を施しても何もならないということです。成績が悪いのは教師が努力せず子供が怠けているのだと考えるのは間違っています。

 一番簡単な学力テストの成績を上げる方法は学力テスト対策をすればよいのです。過去の問題を見て試験対策をすればよいのです。次は成績の悪い生徒さんに欠席してもらえばよいのです。

 しかし、それでは問題は解決しません。市町村の首長は地元とのつながりが強いので、その辺のことを良く知っているのです。地域によっては地域全体が生活環境の厳しい人が多く住んでいることもあるのです。そのような地域環境の下では学校の努力だけではどうにもならないのです。

 そのような地域の実情は個別なので県知事さんのような広域を担当する人には見えにくいのです。市町村の首長なら、あの学校は厳しい地域環境だからある程度学力が低くても仕方がないと分かるのです。

 しかし、知事さんには何であの学校はそんなに成績が低いのかということになります。企業なら社員の努力で短期間で結果を上げることができるでしょう。しかし、教育というのは時間がかかるものなのです。

 学力テストの成績が低い原因を分析し、その対策を立ててもすぐに成果がでません。教師の努力ではどうにもならない部分が義務制(小中学校)の場合大きいです。家で勉強させて下さいと言っても全く聞いてもらえない家庭もあるのです。

 また勉強なんかしても何にもならんと言う親もいるのです。エリートサラリーマンが大勢住む地域では学力が高収入につながることを知っていますし、親も子供も地域も勉強することは当たり前だと考えているし、幼稚園からお受験があって激しい競争をすることもあります。

 そんな家庭の多い地域は教師の指導力がそれほどでなくても学力テストで好成績を上げるでしょう。そして、そのような学校には優秀な教師が集まります。なぜなら、そんな地域の親は教師に厳しいし教育委員会への圧力も可能だからです。

 簡単に言えば指導力に欠ける教師を追いだすからです。おじさんがある高校に在籍していた時も、校長が○○先生については教え方が下手だと父兄やOBが言って来て困ると話していました。進学校ほどそれがひどいのだそうです。生徒が親に○○先生は教え方が下手だというのだそうです。

 教育熱心な地域の親は子供を塾にやったりします。また学校でも優秀な教師を他校へ転勤させないよう校長に圧力をかけるはずです。もちろん県によっては無条件に何年か経過したら転勤させるよう決めていることもありますが、そうでなければいつまでも校長は優秀な教師を手放さないことになります。

 もし、県知事が教育委員会を動かすようになると教師の人事に影響がでます。教育委員会は基本的に政治的圧力から守られていますが、県知事は選挙で選ばれるので教育について政治的な動きをすることになります。

 教育の中立性が脅かされる可能性があるのです。まあそうならなければ余り教師に圧力をかけると学力テストの低い学校から教師が逃げ出すでしょう。教師の世界ではどの学校に勤務して給料が同じなのです。

 また自ら転勤を申し出ても不利益になることは全くありません。上に政策あれば下に対策ありです。校長が無理なことを言えば教師は一斉に異動願いをだして対抗することができます。

 そうなれば該当校の校長は人事管理を疑われます。大昔余りひどい校長がいたので、それをやったことがあったそうです。組合の指導ではなく各自が自分の意志でやれば何の問題もないのです。

 集団辞職でないので身分的には何の問題もありません。もちろん、飛ばされるのは教師でなく校長です。大体教師というのは基本的に大人しくまじめなのですから、そこまで追い詰めた管理職が責任を問われるのです。

 まあよほどでなければそんなことはないでしょう。もし、学力テストの成績で給料を変えるなら、教育困難校に転勤する教師はいなくなるでしょう。逆説的ですが、学力テストの低い学校に優秀な教員と投入し、予算を投入する必要があるのです。また、そんな学校ほど苦労も多いのです。だから学力テストの低い学校に勤務してがんばる教師に待遇を良くする必要があります。

 まあ学力テストの成績公表を主張する首長の人のはそんな考えはないでしょうね。明日はのんびり過ごします。