新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

孤立する日本ーdisappinted(失望)の衝撃

今日は雪との予報でしたが、意外なことに晴天になりました。今日は一日ツマクマの所用と共通の友人との会食で終わりました。

 さすがに株式市況は下落しましたが、終わり値では持ち直していました。やはり買い意欲が強いようです。とくにこのところの円安を見て個人投資家の買いが入ったようです。

 後は大納会ですが、高値引けの可能性が高いです。来年の見通しは全く不明です。さて今日は昨日の安倍総理靖国参拝について書きます。

 小泉さんの時代にも靖国参拝がありましたが、今回とは随分事情が違うと思います。靖国参拝についてはおじさん個人の考えがありますが、面倒なことになるので今日は振れないことにします。

 今日は靖国参拝についての海外の反応について書きます。もちろん国内の問題なので海外からとやかく言われたくないと言う意見もあるでしょう。しかし、日本の置かれている現在の状況を考えれば、今回の靖国参拝は単なる国内問題に終わらないと思います。

 もちろん中韓両国が今回の参拝に反発することは間違いないでしょう。中韓についても、これでさらに対話の機会が延びたでしょう。逆に言えば今回の参拝は、やっぱり日本あるいは安倍政権は軍国主義的だという中韓政府の方針を中韓両国の国民に納得させただけです。

 ネットなどを見ても中韓など無視しろという意見も盛んですが、近隣諸国を無視するわけにはいかないでしょう。まあそうは言っても中韓との対話は靖国参拝があってもなくても難しい状況なのでそれほど問題にはならないでしょう。

 しかし、本来日本の味方であるはずの欧米の反応について極めて顕著な動きがありました。日本にとって一番の味方であるはずのアメリカの反応です。問題はアメリカ大使館の声明の中に使われていた「失望」という言葉です。最初おじさんが聞いた時、これは意訳で、原文は遠まわしな表現だと思っていました。

 外交文書はほとんどの場合どちらとも取れる文章が使われます。しかし、英語に疎いおじさんでも分かる明確な単語を使って言いきっていました。日常生活でも、相手から「君には失望した。」と言われた場合、親しければ親しいほど強い意味を持ちます。日本とアメリカの関係を見る限り、上司と部下の関係のようなものです。

 まあ上司と部下と言わないまでも先輩と後輩という関係でしょう。友人とは言い難いと思います。アメリカ経済なしに日本経済は成立しません。逆に日本経済がなくても変わりはいくらでもあります。日本の安全保障はアメリカなしには成り立ちませんが、アメリカの安全保障は日本なしでも成り立ちます。

 そのアメリカが失望したと言う意味の単語をストレートに使ったのは異例のことです。これが中国政府や韓国政府なら驚きません。なぜアメリカが失望したという言葉を使ったのでしょうか。それ以前にアメリカの高官が靖国神社でなく、戦没者霊園に献花し、元アメリカ高官を靖国参拝をしないようにアドバイスしていたのです。

 外交というのは事前にいくつものサインを出します。それをきちんと受け止めるのが外交の常識なのです。外務省ならそんなことは常識の中の常識で当然知っていたはずです。サインを全て無視すれば、その国の外交能力が疑われます。今回事前にサインを何回も出したのに結局それを無視したのです。

 日本と違って欧米では言葉はとても重要です。逆に言えば言葉こそ全てなのです。聖書にも「初めに言葉があった。」とあります。アメリカだけでなくイギリスなどの欧米でも今回の参拝を厳しく評価しています。台湾でも好意的に受け取ってはいないでしょう。

 東南アジア諸国も同様です。安倍総理の参拝を好意的に受け取っているのは日本の保守派の人だけだと思います。韓国国内では日本との対話を進めるべきだという意見の人もいたと思います。しかし、今回の安倍総理の参拝でメンツをつぶされ、対話を進めるべきだという意見は出せなくなるでしょう。

 国内的には経済の復調と歴代内閣でも高い支持率と圧倒的な多数な議席で順風ですが、今回の参拝で最大の同盟国であるアメリカ政府を失望させました。人間でも国家でも一度失望した相手を信頼できるようになるためには時間と労力がかかります。

 こんなことは外務省なら分かっているはずです。貴国の行動には失望したとある政府が言ったはなから、友好関係が結べるでしょうか。よほど強い信頼関係ができていれば別です。しかし、今の日米の首脳の関係を見てもそれはないでしょう。

 中国の主席とは長時間話し合うことはあっても安倍総理とはそんなことはありません。防空識別圏と飛行計画との関係でも書いた通りです。今孤立しているのは中国ではなく日本なのです。今まで悪いのは中国だと主張していた日本の意見はある程度支持されてきました。

 しかし、今回の参拝を支持する東アジアはもちろん東南アジアの国はないでしょう。今一番日本の味方をしているフイリッピンは先の大戦で日本によって大きな被害を受けました。かってフイリッピンは東南アジアで一番の反日国だったのです。マニラでは多くの戦犯が処刑されました。

 そのフィリッピンが今回の参拝をどのように受け取ったでしょうか。好事魔多しと以前書いたことがありますが、今回の参拝は安倍総理にとってつまずきの第一歩のような気がします。もちろん安倍さん本人は意気揚々としているでしょうが、先述した外務省の官僚は今頃青くなっているでしょう。

 明日は正月準備で忙しいです。