新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国の大学の学生さんの卒業論文添削

今日も晴天です。今日は午前中散髪に行って午後からは今日のブログのタイトルの卒魚論文添削をしました。

 株価は後場それも終わり直前になって値上がりしたようですね。やはり買い意欲が強いのでしょう。おじさんの持ち株は順調に上がっていた電機株が利食いに押され値下がりしました。

 まあそんなに業績が良いわけでもないので仕方のないところです。逆に震災3年の連想から建設株が値上がりしました。政府も復興の遅れを取り戻すつもりのようなのでその連想からでしょう。

 海外特に中国の景気が減速しているようです。銅に続いて鉄鉱石の商品相場が下落しているようです。世界経済が低迷するとおじさんの持っている海運株が値下がりするので困ったものです。

 さて今日は今やっている卒業論文の添削について書きます。卒業論文の内容は翻訳理論に関するものです。翻訳と言うと日本の大学などではほとんど取り上げられませんが、中国の大学では翻訳を取り扱っている先生が結構います。(おじさんのいた大学にはその分野の方が2人いました。)

 翻訳理論という分野もあるようです。欧米とくにフランスなどで翻訳の理論的研究が進んでいるようです。その中で文化省略という分野での論文です。文化省略というのは、原作者にとって自国の読者には当たり前のことは簡単に書く傾向があるのです。

 ところが、その国の人にとって当たり前のことが、同じ文化を持たない他国の読者には理解できないことがあるのです。たとえば、聖書の言葉や出来事を元に書かれた欧米の作品は注釈なしには日本の読者には理解できないでしょう。以前中国の大学の先生から「チュウハイ」とか「演歌の花道」などについて説明を求められたことがあります。

 ただそれを訳者がやたら詳しく説明したら原作の持つおもしろさや作品の美しさがなくなってしまいます。日本でいえば源氏物語を英語に翻訳することを考えていただければ分かると思います。俳句や短歌を中国語訳することを考えても分かると思います。

 その場合どのような訳し方をすればよいのか、また現実にどのように訳しているのか、訳者の考えはどのようなものかを明らかにしたのが今回の論文なのです。

 そのために日中両国で良く知られた「紅楼夢」という作品を題材としていました。おじさんも「紅楼夢」は名前しかしらないのでどうしようもありませんが、中国語と日本語を比較対照しながら論文が書かれているので結構理解できました。

 紅楼夢の中でも用いられている慣用句の翻訳を中心に論述されていました。全部でA437ページです。そのうち参考文献リストや中国語の要旨があるので、実質35枚と言ったところです。

 もちろん全て日本語で書かれています。どこの国でも卒業論文は4年生になって書きます。中国でも今は就職活動のシーズンです。中国では6月に卒業しますので、4年生は今就職活動の追いこみの時期なのです。

 それにも関らず論文審査は厳しいです。不可になると書きなおしを命ぜられます。もし卒業論文が認められないと卒業はできますが、卒業証書が貰えません。もちろん最初からダメな学生もいるので、ある程度手直しをすれば認められます。

 一番大変なのが内容ではなく日本語を十分使いこなせない学生さんです。おじさんの指導学生にもそんな学生さんがいました。事前に内容をみせるように言っていたのですが、直前までみせないで、おまけに内容はネットのサイトのコピペーなのです。

 まれに説明が書いてありますが、その日本語がまた支離滅裂でひどいのです。日本に帰る直前に指導した学生さんがそうでした。当時6人の学生さんを指導していましたが、うち2人くらいは大学院進学希望の優秀な学生さんで2人くらいがどうにもならない学生さんでした。

 一番ひどい学生さんはとうとう書き直しを命ぜられて、卒業式の直前に持ってきました。それでも彼は大学のある街の不動産会社に就職してマンションを売りまくっていたようです。

 中国の大学を離れて3年になりますが、今でもこんな依頼が舞い込んできます。今回の学生さんは多分悪くても80点以上うまくいけば90点以上もらえそうな内容でした。(90点以上は日本語学部で数人だけです。)

 どうももう一つ卒業論文の添削をしないといけないようです。今は仕事もなく年金生活(毎日が日曜日)なので、知的訓練(頭の体操)としてやっています。簡単に言えばボケ防止です。

 明日はもう一度卒業論文を読み直して中国に送る予定です。それと歯医者さんへ定期健診で行きます。