新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国包囲網は可能か

円がとうとう108円台まで来ました。昨日相場は何であれ流れなので、一度流れができると簡単に止まらないという趣旨のことを書きました。さっそく今日は1円以上の円安です。

 株価は170円程度の値上がりでしたが、おじさんの持ち株はほとんど関係ありませんでした。電機株などの輸出銘柄が少し値上がりしましたが、内需関連の建設株がそれを上回って値下がりしました。

 今日は昨日の新聞記事から書きます。記事のタイトルは「インフラ受注中国貪欲」です。記事の内容は東南アジアのインフラ受注についてでした。インフラ受注については時々新聞でも日本が受注した記事がでます。

 とくにベトナムについてインフラ受注に成功したと大きく報道されていました。おじさんも結構日本企業はやるなと思っていたのです。ところが今回の記事を見てびっくりしました。

 ベトナムでは確かに日本が中国の2倍以上のインフラ受注をしていますが、その他の国では大きく受注額で離されているのです。

 ところで冷戦時には社会主義国と資本主義国とでは、ほとんど経済交流がありませんでした。社会主義国社会主義国同士で貿易などの経済活動を行い、資本主義国との経済交流はほとんどありませんでした。

 アメリカと旧ソ連が経済交流を行うことなど考えられませんでした。だからアメリカはなんのためらいもなく対ソ連包囲網を築くことができたのです。

 現在の日本も意識するか否かにかかわらず対中国包囲網を築こうとしています。国民もそれを望んでいるようです。南シナ海での中国と周辺諸国との衝突などから、東南アジア諸国は日本と協力して対中国包囲網に加わると考えているのです。

 安倍さんもそう考えている節があります。しかし、昨日の記事を見て考えを変えました。今中国の圧力を一番感じているのはベトナムとフィリピンでしょう。ベトナムについては先述したようにインフラを日本に依頼しています。しかし、ベトナムは今なお共産党一党支配の国です。

 それに中国と国を接しています。経済的なつながりもあります。国民は反中国感情が強いでしょうが、政府は日本と中国の両方に足を置いています。ベトナムの国際関係におけるしたたかさはベトナム戦争で立証ずみです。

 次にフィリピンですが、以前からの親日国なので、インフラも日本に頼っていると思っていました。ところがなんと日本のインフラ受注が149億円なのに対して中国は1238億円です。中国は日本の8倍のインフラ受注なのです。

 もしフイリッピンが中国包囲網に加わるならインフラ整備は中断するでしょう。中国との緊張が高まったフィリピンのインフ整備に加わる日本企業はないと思います。そもそもフィリピン側の示す条件が日本企業には受け入れられないものだと思います。

 そういうわけで中国はフィリピンのインフラ整備に深くかかわっているのです。南シナ海での衝突事件だけを見ていれば真っ先にフィリピンなどは対中国包囲網に加わりそうなものです。

 しかし、インフラ整備のカギを握る中国とそう簡単に関係を断つわけにはいかないでしょう。日本企業が多数進出しているタイでも中国のインフラ受注は日本の約2倍です。中国系住民も多いマレーシアに至っては中国2530億円に対して日本はその10分の一の236億円です。

 東南アジア最大のインドネシアでは中国は日本の2倍ちょっとです。これからの発展が一番注目されるミャンマーはどうでしょう。マスコミ報道ではミャンマーは中国を嫌って日本に接近しているといわれます。

 そんなこれから一番成長するといわれるミャンマーにどれだけ日本企業はインフラ受注をしているのでしょう。何と14億円です。法整備も整わずリスクの大きいミャンマーでのインフラ整備に日本の民間企業が及び腰になるのは当然です。

 しかし、どんな場合でもリスクをとってでも先に出た方が勝ちです。リスクを恐れて整備が進んでから進出したのでは負けです。かって日本人はエコノミックアニマルと呼ばれ、世界中の隅々にまで進出しました。

 鞄に商品を詰め込んで地の果てまで商売に行きました。エスキモーに冷蔵庫を売るというジョークまであったものです。今世界の果てまで進出しているのは中国です。

 ところでミャンマーで中国はどのくらいインフラ受注をしているのでしょうか。何と2344億円です。日本はわずか14億円です。この数字ではミャンマーは対中国包囲網に加わるわけにはいかないでしょう。

 マルクスではありませんが、政治は経済の上に成り立っています。もし対中国包囲網に加わるならば東南アジアのインフラ整備は全く進まなくなります。日本政府が中国に代わってインフラ整備をするわけには行きません。

 同時に中国崩壊論が盛んに報じられますが、そんなことになれば東南アジアのインフラ整備はすべて止まってしまいます。中国以外にリスクをとって東南アジアのインフラ整備をしてくれる国はありませ

 万が一中国崩壊が起これば中国が持つ膨大なアメリカ国債も一気に放出され、核兵器は拡散し、億単位の難民が近隣諸国に流出し、東アジア全体が大混乱になるでしょう。

 イラクの例を見るまでもなく、受け皿のない国家崩壊は独裁よりも怖いです。明日は所用をこなします。