新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「地方消滅」(中公新書)を読んで。

今日の株価は200円以上の値上がりでした。おじさんの持ち株の一つも値上がりしました。5月に年初来安値近くで買ったのですが、今日は年初来高値を更新を更新しました。

 そろそろ売り場を考えなければなりません。株式相場は山高ければ谷深しです。去年の相場を思い出していただければわかってもらえると思います。

 さて今日は先日読み終わった「地方消滅」(中公新書)について書きます。将来消滅する地方が沢山でるとの警告で有名になりました。

 以前知事だった「増田寛也」氏が編著者になっています。この本は中央公論に書かれた論文をもとにしたものです。このままでは896の地方自治体が消滅すると警告して有名になったものです。

 この論文の新さは、人口問題を20歳~39歳までの若い女性の減少率で考えた点です。ふつう人口減少は出世率などで論じられますが、子供を産んでくれる若い(20歳~39歳)女性がその地方にいなければ子供が生まれることはありません。

 人口減少の問題の分析は進んでいますが、解決策というものが見つかりません。この本では北海道を例にして論じています。出生率の向上には日本の場合婚外子がほとんどいないので、まず若者に結婚してもらう必要があります。

 この本では北海道全体で「20歳~34歳女性の有配偶率が現在の36,7%から52.6%に向上することで、2035年出生率1・8が達成されるとの試算結果が得られた。」と書かれていました。

 これを読んでおじさんはおやおやと思いました。若い女性の有配偶率を52.6%にするなど夢のまた夢です。女性が配偶者を得るには若い男性が必要です。

 北海道に限らずどこの地域でも若者の就職が難しい状況があります。この本でも「若者の雇用問題は、有配偶率低下の大きな要因である。」と述べています。安定した収入があっても結婚しない若者は多くいます。出会いのチャンスがなかったり、自由できままな生活をしたいと思う若者もいます。

 それらを含めるとこの本のいう有配偶率52.6%達成は難しいと思います。現在が36.7%なのですから、将来もその水準かさらに低下すると考えられます。

 昔、農村部で嫁不足と言われたことがありました。今は農村に若者はいないでしょうから、嫁不足すら起こらないと思います。

 2040年どころか2030年にも地方自治体が消滅していくでしょう。あるブログに地方自治体が消滅してもそれは地方の消滅ではない。ただ自治体がなくなるだけで、別の自治体の編入されるだけで問題はないと書かれていました。

 そうではないと思います。自前の自治体がなくなって別の自治体に編入されると、すべてが不便になります。別の自治体の施設は編入された自治体から遠く離れているからです。

 集落も消滅し人も住まなくなるから自治体として維持できなくなるのです。地方振興についていろいろ施策が述べられていますが、しょせん都会の魅力には勝てないでしょう。好奇心や向上心のある若者には都会は魅力的です。

 おじさんも時々東京に行きますが、調べ物一つとっても東京は魅力的です。日本最大の国立国会図書館もあります。また各種の美術館・博物館・それに大学図書館などもあります。ネットで調べるにしても限界があります。

 人文科学の場合、史料(資料)が全てです。参考資料調査でも論文名がわかってもその雑誌を所蔵する機関がないと閲覧は難しいです。現場に行って調べるよさは、思いがけず別の雑誌を見て気付くことがあるのです。

 ずらっと並んだ雑誌類を見ていて気付くこともあります。また、ある論文に引用された論文が掲載されている雑誌をその場で閲覧することもできるのです。つまり芋ずる式に調べることができるのです。

 おじさんは大学では国語学(日本語学)を大学院では教育行政学を勉強しましたが、東京にいたらもっと多くの本を調べることができただろうと思います。

  明日は教会資料作りをします。