「中国の情報機関」(祥伝社新書)を読んで
世情では解散があると騒いでいますが、これについては後日書きます。さて今日は久振りの軍事ネタです。先週から読んでいた「中国の情報機関」を今日読み終えました。
それで、今日はこのことについて書きます。おじさんが中国にいた時「潜伏」というドラマを見ました。日本で放映しても十分に面白内容だと思うのですが、中国共産党が正義なのでちょっと難しいでしょうね。
そしてそれは現在も引き継がれていると思います。今回読んだ本はおじさんが知っている範囲で特段目新しいものはありませんでした。結論としてこの本は中国の情報機関は優秀で多くの情報を集めることができるが、その分析において欧米などに劣っているとしています。
これは良く分かります。分析能力が劣っているというよりは、分析された内容を政府や党、人民解放軍の幹部が受け入れないのでしょう。分析は客観的なものであっても、受け入れる側の幹部たちにはさまざまな立場があると思うのです。
確か戦前の日本でも太平洋戦争を始める前にシュミレーションを行って、戦争に敗北するという結果を出したそうです。(実施機関は総力戦研究所だったと思います。)しかし、政府首脳はその結果を受け入れなかったのです。
それでも、戦時には中国や東南アジアで特務機関があってそれなりに活躍していたようです。陸軍中野学校の
ようなものもありました。戦後、情報というと暗いイメージがあって、日本の情報機関はほとんど活動しなくなります。
対内的な情報機関としては、公安警察が一番でしょう。日本中隅々まで警察の目が届きますし、戦前の特高警察以来の伝統があります。対外情報機関はほとんどないと言ってよいでしょう。内閣調査室などもありますが、これも国内的なものです。
そういえば、ある記事に政治家の身体検査をするのも内閣情報室の仕事だとありました。自衛隊の情報本部などは、結構海外の通話傍受などをやっていると思います。
中国の情報機関の場合、動員できる人的資源が膨大です。留学生から会社員、それ以上に世界中に中国系の市民がいるのです。日本の場合、日系市民がアメリカで日本の情報機関に協力することはあり得ないでしょう。もちろん、日本の情報機関は日系人や日本からの留学生を信用していないので、協力を求めることはありません。
日本では官は基本的に民を信用していません。官が信用できるのは官だけなのです。(おじさんも官の側だったので、よくわかります。そのおかげで随分助かったことがあります。)官は官からの依頼には好意的ですが、というか最大限の協力をしますが、民からの申し出には冷たいものです。
これから強力な情報機関を再建するのは難しそうです。明日も忙しいです。