新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「明治維新と幕臣」-「ノンキャリア」の底力(中公新書)を読む。

今日は日曜日なので本来は教会ネタなのです。ところが今日はツマクマが体調不良で教会に行けなかったので、おじさんも一緒に教会を休みました。

 今日は予定ではマタイ福音書1章1節からのキリストの系図からの説教について書く予定だったのです。上記の理由で残念ながら教会に行けなかったので書けませんでした。

 それで今日読み終わった本について書きます。内容は明治維新の時明治新政府は意外にも旧幕臣を重用したという話です。勝海舟榎本武揚のように政府の中心的な存在になった人もいますが実務官僚今でいえばノンキャリアとして働いた人も多かったようです。

 著者はその例として函館奉行所幕臣について書いています。詳しくは当該書を読んでもらえれば結構です。印象に残ったのはどの時代でもトップの高級官僚と実務官僚がいたということです。

 そしてどの時代でも社会がうまく働くためには実務官僚の働きが必要だということです。平安時代有名な在原業平歌人として有名ですが、同時に朝廷には馬寮の長官でした。右馬頭(うまのかみ)と呼ばれました。当時官庁は左右に分かれていたのです。

 馬寮では宮中で使う馬の管理に当たっていたようです。今でいえば国会や政府の車両課と言ったところでしょうか。在原業平も昼間は職務に専念していたと思います。どこの役所もそうですが、トップの決済が必要なことが多いので(馬の購入や飼料の購入管理など)在原業平も事務決済をしていたと思います。

 ところで、前政権の官僚組織をそのまま引き継いだのが先の大戦後です。政府のトップは追放しましたが、残りの実務官僚をアメリカ軍はそのまま使いました。そしてそれは成功しました。

 反対に先の政権の実務官僚レベルまで追放したのがイラク戦争後のアメリカ軍です。当時の実務官僚レベルの中心であったバース党のメンバーを全て追放して、海外の亡命組をその代り重用しました。

 これは完全に失敗しました。どこの国でも実務官僚が社会を支えているのです。実務官僚レベルまで追放したため国内は動乱状態になったのです。

 明治維新の時全国統治の経験も人材もない明治新政府が幕府官僚(幕臣)をすべて追放したら、社会は大混乱になったでしょう。この本によれば、外交・財務・貿易等全国レベルについては、そのまま幕臣が担当したようです。

 勝海舟榎本武揚のような有名人でない実務官僚の話はとても面白かったです。明日の株式相場と為替相場が気になります。選挙結果はすでにマスコミが報道した通りでしょうから関心はありません。