佐賀知事選挙の波紋ー地方の反乱
昨日行われた佐賀知事選挙は極めて注目すべきものでした。滋賀に始まり福島、沖縄と自民党が敗北しています。それに続いての佐賀知事選挙でした。
佐賀県の場合、現知事が総選挙のために辞任したところから選挙になりました。もし、現知事がそのまま次の選挙に出ていたら現知事の当選は間違いなかったでしょう。
ところで敗北した候補者は先鋭的な改革で名を成した人です。図書館と民間企業を組み合わせたり、教育でも大胆な改革を行いました。
自民党の推薦も自分から売り込んだようです。改革を目指していた安倍政権は改革の目玉としてこの選挙を位置付けたようです。それで積極的にこの候補者を応援しました。
自民だけでなく公明党も相乗りしました。もし農協の反乱がなければ無風選挙で終わったでしょう。今安倍政権は農協改革をやろうとしています。農協中央会だけでなく、すべての農協が危機感をもっています。
このまま改革派のシンボルのような候補者が当選したら農協解体に至ると考えたのでしょう。仮に農協が安倍政権の改革に反対だと思っても県民がその考えに反対なら改革派の候補者が当選したでしょう。
無党派層の大部分は農業従事者でなくサラリーマンでしょう。農業従事者だけでなく地方のサラリーマンも急激な改革を望んでいなかったのです。
国政選挙では圧倒的な強さを見せた自民党も地方ではさっぱりです。ちなみに改革派の候補者の後任はやはり改革派の候補者が当選しました。しかし、その差は数百票にすぎません。
それに投票率も下がっています。任期途中で国政に出た知事の後ということで選挙民も白けたのでしょう。ただこれで農協改革は難しくなります。中央政府が本気で地方をねじ伏せようとしたのに、逆襲を食らったのです。
国政で圧倒的な多数を取れたのはたぶんに選挙区や戦術の有利さが働いています。それに中央の政治家や官僚のイメージと地元住民のイメージとの間には大きな差があります。
沖縄では反基地の知事が当選したので中央政府は冷遇しているようです。佐賀の県民はそのことを知った上であえて4万票の差で中央が押す候補者を落選させたのです。
保守というのは本来改革を嫌うものです。安倍政権は保守を標榜しながら改革を進めようとしています。その矛盾が今回の知事選挙で出たのだと思います。
順風満帆に見えた安倍政権も意外なところに弱点があるようです。ところで今日の対ドル相場は118円台まで円高が進みました。このまま行くと明日の株式相場は100円近い大幅安で始まりそうです。明日の相場(株式・外貨)が注目されます。