新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

スイスショックと相場(外貨・株式)

このところ、毎日相場(株式・外貨)が乱高下しています。いつも書くようにアナリストの今年の相場予想は今のところ全くはずれています。

 相場予想は予想した時点での判断なのです。ですから、以前書いた古代中国の格言「船に刻みて剣を探す」(ある男が船で川を渡っているとき剣を川に落とした。男はすぐ剣が落ちた船べりに刻みを入れた。そして船がついてから船の傷の位置から川に入ったが剣はなかった。)

 つまり物事は進んでいるのに以前の時点で物事判断すると間違えるという教えなのです。ところで今日の相場を激震させたのはスイスフランの動きです。

 スイスフランはヨーロッパ最強の通貨なのです。ユーロと全く違った動きをしています。スイスはスイスフランがユーロに対して高くならないように一定の幅で相場をおさえていました。

 ある限度を超えてスイスフラン買いがあった時、それに為替介入していたのです。それを無制限にやっていました。しかし、物事には限度があります。とうとうスイスの金融当局は為替介入でスイスフランを固定化することをあきらめたのです。

 金融当局がスイスフランの変動を認めた途端スイスフランは一気に対ドル対ユーロで値上がりしました。報道によれば、ドルに対して38%、ユーロに対して41%値上がりしたということです。

 もし円がドルに対して30%も円高になったら116円が70円台まで一気に円高になります。日本の投資家でスイスフランに投資している人は少ないと思います。

 ただこんな大きな金融政策の変更があったので世界中の相場が反応したのです。アメリカの株式相場も大きく下げました。

 今日の株式相場も一時510円まで下げその後買戻しもあって244円安で引けました。また対ドル相場も115円まで円高が進んだ後116円にもどしています。

 ついでに言えばインドも金利引き下げを行っています。スイスショックの方が注目をあびて余り目立たなかったようです。新興国のインドでも金利引き下げで景気刺激をしなければならない状態のようです。

 このところの日米の株安、また景気指標の悪化などを見るとアメリカの金利引き上げも先行き不透明感がさらに強まりました。案外年内金利引き上げはないかもしれません。そうなるとアメリカの金利引き上げを見越してのドル高円安も流が変わるかもしれません。

 日銀もこのところ思ったほど景気回復感が弱まったと思っているようです。想像以上にヨーロッパの景気状況がよくないようです。去年の見通しの前提がどんどん変わっています。

 ところで無制限の買い支えで思い出しましたが、日銀も物価が2%上昇するまで国債を無期限で買い続けるといっていました。スイスも結局無理なことをして逆に大変な反動がありました。

 日銀も無期限の買い入れを主張しながら、最後にいやこれ以上買い入れはできませんとギブアップ宣言をしたら国債は大暴落するでしょう。今国債金利が史上初めての金利安(国債の買い)になっています。

 それが一転金利高(国債売り)になった時、日銀は膨大な損失を被るでしょう。同時に国債保有する金融機関も大損失を被ります。

 スイスの例で分かるように、異次元の金利政策はいつか破たんし、異次元なだけにその反動も図りしれないものになります。スイスは銀行で有名な金融立国です。そのスイスでさえ金融政策で失敗したのです。

 ものつくり立国の日本が金融政策で失敗する可能性は極めて高いと思います。スイスの例を見て投資に少し慎重になろうと思いました。