新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

合成の誤謬ー世界通貨戦争

今日の株式相場は日経平均50円ちょいの値下がりで引けました。一時100円以上の値下がりがあったのですが、企業業績が好調なことで、値下がりしても日銀や年金の買いがあることで買い安心感があるのでしょう。

 今日はちょっと話題を変えて世界通貨戦争について書きます。今世界中の国が自国通貨の価値を下げる方向に向かっています。

 もちろん、通貨切り下げの形ではなく、金利引き下げなどの金融政策で実質的な通貨安を狙っているのです。もちろん日本もそうです。金利を引き下げることで、事実上円安に振れています。

 逆にドルは金利引き上げの観測からドル高が続いています。ユーロも金融政策でユーロ安を狙っています。ただ日本ほどの大胆な通貨安政策ではないので、まだ以前ほどの対円でユーロ安になっていません。

 ほとんどの国が金融緩和政策を取るのは、自国の通貨安だけを狙ったものではありません。金融緩和策で景気刺激を狙っているのだと思います。しかし、世界中が景気後退の中で金融緩和政策だけで自国の経済が回復するとは思っていないでしょう。

 ですから、金融緩和政策の副次的な効果として自国通貨安を狙っているのです。自国通貨安になれば輸出に有利になります。だからと言って多くの国が通貨安への誘導策を取れば通貨安の効果が薄れます。

 日本のような輸出だけでなく、資源国の豪州までも金融緩和政策を取りました。おかげで豪州ドルをもっているおじさんも豪ドル安でがっかりです。

 世界中が通貨安を狙えばその効果はなくなります。逆にある国だけが通貨安政策を取らねば、その国の通貨が高くなり輸出に不利になるでしょう。

 戦前世界大恐慌で輸出が大幅減少した時、各国はダンピングで輸出を増やそうとしました。そして結局ダンピングを防ぐため、自国の影響下の国だけで貿易するブロック経済へと進みました。

 自国にとって有利な政策を取るのは合理的な行動ですが、皆が同じ行動を取ると逆に間違ったこと(誤謬)になるのです。よく言われるように節約は確かに美徳ですが、もし皆が節約すれば景気が減退して困ったことになるのです。

 今のところアメリカ経済だけが好調なので各国通貨は対ドルで安くなっています。さらにアメリカが金利引き上げをすればさらに世界通貨に対してドル高になるでしょう。

 しかし、アメリカの輸出産業は影響を受けるでしょう。今は内需が好調なのでそれほど輸出産業からの不満が出ませんが、金利引き上げでさらに世界通貨に対してドル高になれば、アメリカの輸出産業も黙っていないでしょう。

 もしアメリカが世界通貨戦争を許さない姿勢を示したら大変なことになります。現在の世界経済はアメリカの通貨安戦争黙認の上に成り立っているようです。

 考えてみれば、20年以上前ジャパンアズナンバーワンなどと言われ、アメリカの時代は終わったと言われたのが夢のようです。中国の興隆を見ても経済の栄枯盛衰が感じられます。