合成の誤謬ー世界通貨戦争
今日の株式相場は日経平均50円ちょいの値下がりで引けました。一時100円以上の値下がりがあったのですが、企業業績が好調なことで、値下がりしても日銀や年金の買いがあることで買い安心感があるのでしょう。
今日はちょっと話題を変えて世界通貨戦争について書きます。今世界中の国が自国通貨の価値を下げる方向に向かっています。
ほとんどの国が金融緩和政策を取るのは、自国の通貨安だけを狙ったものではありません。金融緩和策で景気刺激を狙っているのだと思います。しかし、世界中が景気後退の中で金融緩和政策だけで自国の経済が回復するとは思っていないでしょう。
ですから、金融緩和政策の副次的な効果として自国通貨安を狙っているのです。自国通貨安になれば輸出に有利になります。だからと言って多くの国が通貨安への誘導策を取れば通貨安の効果が薄れます。
日本のような輸出だけでなく、資源国の豪州までも金融緩和政策を取りました。おかげで豪州ドルをもっているおじさんも豪ドル安でがっかりです。
世界中が通貨安を狙えばその効果はなくなります。逆にある国だけが通貨安政策を取らねば、その国の通貨が高くなり輸出に不利になるでしょう。
自国にとって有利な政策を取るのは合理的な行動ですが、皆が同じ行動を取ると逆に間違ったこと(誤謬)になるのです。よく言われるように節約は確かに美徳ですが、もし皆が節約すれば景気が減退して困ったことになるのです。
しかし、アメリカの輸出産業は影響を受けるでしょう。今は内需が好調なのでそれほど輸出産業からの不満が出ませんが、金利引き上げでさらに世界通貨に対してドル高になれば、アメリカの輸出産業も黙っていないでしょう。
考えてみれば、20年以上前ジャパンアズナンバーワンなどと言われ、アメリカの時代は終わったと言われたのが夢のようです。中国の興隆を見ても経済の栄枯盛衰が感じられます。