新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

旅券返納と肥後守

今日の相場は典型的な円高株安でした。円がこのところ乱高下しています。外国為替で一日に1円レベルで動くというのは大変なことです。

 FXなどをやっている人にとっては絶好の機会だったでしょう。ところで今日のタイトルを見て奇妙に思った方もおられると思います。

 旅券返納問題は結構微妙なので、できるだけサイトが炎上しないように、ちょっと目何のことか分からないようにしているのです。

 そもそも肥後守とは何でしょうか。おじさんと同年代の方ならお分かりだと思います。小刀の別名です。おじさんが小学校時代鉛筆削りとして、またちょっとした工作の道具として学校に持って行ったものです。

 それで、鉛筆が折れると鉛筆を削っていました。もちろん人に切り付ければけがをします。肥後守が危険なことは子供なら皆知っているので、いくら相手が憎くてもそれで切り付けたり刺したりは絶対にしませんでした。

 だからこそ、長年に渡って肥後守を学校にもって行くことができたのです。ところがある時その暗黙の了解を破って肥後守でけがをさせた事件が起こりました。

 それ以後一切肥後守を学校にもって来てはいけない、家庭でも使わせないということが全国で広がりました。おかげでおじさんの同僚の実家の金属加工工場では肥後守が売れなくなって困ったそうです。

 少しでも危険な物は全て排除する又は近づけないというのが日本の文化です。まさに臭い物に蓋をするです。ある時インデアンの考えについて書いたものを読みました。

 インデアンは危険な物から子供を排除するのでなく、逆に危険な物で怖い思いをさせるそうです。ナイフでちょっと傷をつけるそうです。そうすれば、ナイフがどんなに怖い物か子供は理解するようです。

 今回の旅券返納は危険な場所に人を行かせないための処置のようです。もちろん物見遊山で危険な場所に行くのは論外ですが、危険な場所だからと言って全く行かせないのは難しいでしょう。

 もし世界中の政府が危険地帯への立ち入りをすべて禁止したらどうでしょう。ジャーナリストが危険な紛争地域からいなくなったらどうでしょう。イスラム国について報道できなくなります。また政府なりの発表しか国民は受け入れることができなくなります。

 欧米ではジャーナリストだけでなく、援助活動の人も危険地帯に入っています。これもできなくなれば、困るのは危険地帯の人々です。日本だけがジャーナリストやカメラマンの危険地帯への立ち入りを禁止し、危険を冒して得た海外のニュースを日本だけが享受するのでしょうか。

 以前従軍記者というのがいて、軍隊とともに行動し、戦場にも出ました。ベトナム戦争の時もそうです。そのために命を落とした人もいたようです。

 今回の旅券返納命令ですが、こちらの方は意固地になって、政府に対抗しているのでしょう。なぜなら直接シリアに入国と言わないで、一旦トルコでもエジプトでも入国して、その後つてを求めてシリアに入国することもできたはずです。

 いずれにしても、政府は日本人がまた面倒に巻き込まれないことだけを願っているのでしょう。危険なもの・危ないものにとにかく近づけないというのは、日本の伝統文化なのでしょう。今回の出来事はそれをよく表していると思います。

 明日は土曜日なのでのんびり過ごします。