新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

大阪の某高校の事件について―裏金の作り方とその罪

 このこところ経済ネタが多いので久しぶりに学校ネタです。先日大阪の某高校の校長が裏金を数億円単位で取得して問題になっていました。

 高校と書きましたが厳密には中高一貫校のようです。学校で数億円もどうして裏金ができたのか不思議に思っている人も多いと思います。

 裏金は簡単に言えば表に出して使えないお金のことです。今回は私立高校でしたが、以前は行政機関でも裏金つくりが行われていました。

 行政機関の場合官官接待が必要だったのです。中央から偉い役人が来たら接待しお土産を持たさねばなりません。また中央だけでなく、他の行政機関同士の交流でも接待が必要だったのです。

 ところで行政機関の場合の裏金つくりはまずカラ出張というのがあります。書類上は出張にして旅費を請求し実際は行かないのです。大昔公務員もボーナスの他にプラスアルファと言うのがありました。プラスアルファは正規の給与からではなく、このカラ出張を使っていました。

 これも某行政機関で摘発されたのですが、消耗品名目で業者に依頼するのです。有名なのがコピー用紙で1000枚買ったところを5000枚とか10000枚とかの領収書を書いてもらうのです。業者は普段お世話になっているし、文句を言うと外されるのでその通りにします。

 行政機関の場合必ず監査が入ります。消耗品の場合使ってしまいましたで終わりです。監査も備品の場合管理を厳しく言われますが、消耗品の場合それほどでもありません。前年度と比べて極端に増えていなければ問題はないのです。

 この某行政機関は常識を超えた数のコピー用紙を発注していたのでばれたのです。

 今回は学校でした。学校の場合、私立であれ公立であれ、事務室で授業料などはきちんと処理されます。ですから大きな裏金にはならないのです。

 義務制の場合父兄の私費負担はほとんどありません。ところが高校の場合、進路指導費がとても高額なのです。おじさん
が在籍したある高校でも年間3万円の進路指導費を徴収していました。

 1000人規模の学校だと3000万円にもなります。その高校は3番手くらいのレベルの高校でした。一番手の高校となると模試や補習授業などが沢山あります。

 模試代金もばかになりません。また教材を作ったり試験問題を作成してもらったりした場合、作成料や採点料を支払ったりします。公立の場合勤務時間内ということで無料ということもできますが、私立の場合、別に払ってもよいのです。

 これらのお金は事務室とは別に進路指導室で管理します。そして、必ず黒字になるようにし、内部留保も一定以上持つことになります。と言うのはもし何らかの事情で単年度赤字になったり、設備を新規に買い替えたりする場合内部留保のお金がいるのです。

 例えばコンピューターは何年かで買い替えねば古くなります。公立の場合こんな費用は公費からは出ません。生徒にたくさん使わせるためコンピューターを沢山そろえるとお金がかかります。

 これも先に述べた内部留保から支出するのです。公費と違って監査対象になりません。実務は進路担当の教員がしますが、内部留保の使い道などは校長が判断します。

 私立のように長年に渡って校長を務めると、その間進路担当者は次々に変わります。最初のころrの事情を知っている人はいません。そうなると内部留保のお金を校長が自由に使うこともできるのです。

 大阪の校長の場合ワンマンで意見できる人がいなかったようです。それに進学校だと進路指導費もおじさんが知っている地方の3番手の高校などと比べものにならない額でしょう。

 それにそんな有名私立高校にやる父兄は皆お金があるので、進路指導費を結構長く徴収されても文句を言わなかったのでしょう。月1万円の進路指導費とすると年に12万円、在校生が1000人とすると1億2千万になります。2割を内部留保とすると2400万になります。
 
 1割でも1200万円ですから、校長には裏金など月100万円出せます。ほとんどの教員は実態を知っていたのですが、校長が怖くて何も言わなかったか、自分たちにもおすそ分けがあったかでしょう。

 公立の場合ここまでできませんが、一般の方には分からなくても同業の高校教師なら皆わかることです。ちなみに、この校長は背任罪で告発されることになるでしょう。

 公的なお金を自らの利益のために使うとそうなります。明日は日曜日なので教会です。