新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

多極化する世界情勢

 中国主導のアジアインフラ投資銀行は参加国を急速に広げています。中国の一人勝ちを嫌っていたロシアも参加国の増加にたまらず参加を表明しました。

 北欧諸国までバスに乗り遅れるなと参加を決めました。主要国のなかで参加していないのは、日米だけです。強いて言えばそれにカナダがまだ方向を示していないだけです。

 日本の保守派が大好きな(以前ほどではありませんが)台湾まで参加を表明しました。これはかって世界に君臨したアメリカの勢力の後退を示しています。

 アメリカは湾岸戦争までは世界の警察官として君臨しました。しかし、イラク戦争でつまずき、アフガニスタンでも泥沼にはまってしまいました。

 シリア介入もうまくいきませんでした。逆にアメリカの勢力後退を見てロシアはクリミア併合、続いてウクライナへの領土拡大を画策しています。ウクライナ紛争の時、ロシアは核兵器を準備したとプーチン大統領は語ったのですが、アメリカの反応はいまいちです。

 今回のアジアインフラ投資銀行の主導者である中国に対しても完全に外交的失敗を犯してしまいました。欧米という言葉があるほどアメリカとヨーロッパは一体だったのです。イラク戦争でもイギリスが真っ先にアメリカを支持しました。

 今回のアジアインフラ投資銀行ではイギリスが参加を表明したのを見て各国は一斉に参加に踏み切ったのです。今日の報道では50か国が参加するようです。

 多くの国がアジアインフラ投資銀行に参加を表明したのは、あのイギリスが参加するのだからと思ったからです。かっての大英帝国ほどでなくてもやはりイギリスにはそれなりの権威があるのです。

 中東ではアラブ連盟が独自の軍隊を持とうとしています。サウジアラビアが独自の軍事行動をとり始めました。中東で一番の親米国はサウジアラビアです。そのサウジアラビアアメリカ頼むに足らずと独自の動きをしているのです。

 IS問題でもアメリカの陸上軍の参加はありません。アメリカもすでに他国の紛争にかかわる余裕はないのです。民主党政権共和党政権に代わっても同様でしょう。内向きの姿勢がさらに強まるだけだと思います。

 アメリカ以上に今回のアジアインフラ投資銀行問題でショックを受けたのは安倍政権でししょう。アジアアフリカ諸国を巡ってお金をばらまき、大歓迎を受けたのに、日本が反対するアジアインフラ投資銀行アジア諸国は参加したのです。

 イギリスが参加する以前から中国と紛争を抱えているベトナムやフイリッピンは参加していました。中国包囲網のかなめとなるインドも早くから参加しています。

 安倍さんの中国包囲網は完全に破たんしました。というより逆包囲網になっているのです。アジアインフラ投資参加国の思惑はいろいろでしょうが、やはり中国の力は侮れないのです。

 今世界は日・米・ロシア・中国・インド・サウジアラビアEUと多極化しています。中国憎しだけではやれない時代に来ていることが今回のアジアインフラ投資銀行問題ではっきりしました。

 これから日本がどのような手を打つのか不明です。マスコミも過去の経験から実利主義のアメリカが日本を差し置いて先にアジアインフラ投資銀行に参加する可能性があると報じています。

 その可能性はかなり高いでしょう。戦後を見直すなどと言ってアメリカの機嫌を損なうなら、日本が世界の孤児になる可能性もあります。戦前の国際連盟脱退を思わせる今回のアジアインフラ投資銀行問題でした。

 名誉ある孤立などと言っていたのでは、日本は全てを失ってしまうかもしれませんね。そういえば今日も日経平均が下がっていたようです。明日の相場はどうなるのでしょう。