AIIBと人民元の国際化
先日AIIB(アジアインフラ投資銀行)に関する記事を探していると面白いブログに出会いました。「世に倦む日々」というブログです。どうも有料みたいですが、おじさんが見たのは偶然すべて公開されたものでした。
この方のAIIBに関する視点は他のブログや記事(ダイヤモンドオンライン・アゴラ)などと比べると格段に鋭い分析でした。このブログの視点の鋭さは反中国感情や中国共産党支配と言った視点ではなく、人民元の国際化の視点から論じている点です。
日本のマスコミは全く指摘しませんが、中国元の国際化は想像以上に進んでいました。人民元の国際化についてはおじさんも以前ブログに書いたことがあります。それはロンドンに人民元の取引市場が開設されたことについてです。
人民元の取引市場のことを人民元オフショア市場と言います。オフショアというのは簡単に言えば海外で人民元を取り扱う市場のことです。それまでは香港だけだったのですが、その後ロンドンにも開設されたという記事を以前みたのです。
新聞報道だったのですが、日本ではほとんど注目されませんでした。おじさんもその後の報道がなかったので、ロンドンだけだと思っていました。ところが「世に倦む日々」の記事の中で、その後フランクフルト・パリ・ルクセンブルグに開設されたようです。
この人民元オフショア市場が開設された場所は今回のアジアインフラ投資銀行に参加した国にあるのです。ヨーロッパではイギリスが真っ先にAIIB に参加表明をしました。人民元オフショア市場もイギリスがヨーロッパで最初に開設されたということはイギリスは中国の国際金融の内情を知っていたはずです。
イギリスに続いて参加したのがドイツ・フランスだったのもうなずけます。さらにルクセンブルグも参加表明したのも理解できるところです。
サイトで調べたら何と元財務官として国際金融の政府責任者であった行天氏が所長でした。その研究所は国際通貨研究所と言います。おじさんも昨日「世に倦む日々」を読むまで知りませんでした。
韓国も人民元オフショア市場を開設しています。AIIB 参加が単にバスに乗り遅れるなの国もありますが、欧州からの参加国はすでに中国との間で国際金融関係ができていたのです。
日本のマスコミもネット右翼の方々も現実には中国がどんどん国際金融界に進出していることを知るべきです。おじさんは中国にいて中国をずっと観察していました。中国の強さも弱さも体験しています。
アジアインフラ投資銀行についても中国政府は最初の国際金融機関の運営なので相当慎重に動くと思います。もちろん、失敗も多いと思いますが、中国の強みはその失敗を糧に次の戦略を考える点です。
何かする前から完全を目指すのが日本です。しかし、日本以外の国は失敗は当たり前、次を目指すというものです。安全保障を理由に日本政府はAIIB 参加を拒んでいますが、中国と対決するベトナムもフイリッピンも当初から参加しているのです。
まあ、今の時点で日本が参加することは対世論の上からも自民党内での保守派の動向などから無理でしょう。別にだからと言って日本がAIIB 参加することをおじさんも求めてはいません。