新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

AIIB をめぐる内外の動き

 今日はまたAIIB(アジアインフラ投資銀行)について書きます。実は今日久しぶりに本屋さんに行くとニューズウィーク誌(日本語版)がありました。

 ニューズウィーク誌は大きくAIIB について取り上げていました。論調は日本政府の立場とほぼ同じです。ただイギリスに裏切らたと指摘していることが印象的でした。

 もちろんアメリカが早急にAIIB 参加をすべきとはしていません。ただアメリカ政府特にオバマ政権の外交的失敗だとしています。日本以外の同盟国がほとんど皆AIIB に参加したのですから当然です。

 日本のマスコミはAIIBの持つ意味の大きさについてほとんど触れていません。ブログなどを見るとAIIBなど無視すべきだという論調です。

 ただ注目すべきは保守派新聞の雄である読売新聞がAIIBについて政府内部の論議について報道していることです。保守派の世論はAIIB など無視すべきだし、失敗するに違いないという論調です。

 ところが、今回の記事では懸念される点だけでなく、評価すべき点が並列されているのです。保守派の世論やブログの記事は皆懸念される点だけを取り上げています。

 しかし、読売新聞の記事で初めて評価すべき点が登場したのです。読売新聞はしばしば政府の意向を先取りして報じます。先の解散総選挙も読売新聞がアドバルーンを上げました。

 今主要国でAIIBに加わっていないのは日米だけです。アメリカは政府高官を中国に派遣して、AIIBを否定はしないが今ある機関と歩調を取るよう要請しました。

 一方日本は全くAIIBについては無視しています。ところで国際金融機関のうち世界銀行で動きがありました。昨日の朝日新聞の記事では世界銀行が「AIIB協力へ協議継続」としています。「協力の具体策を協議したい。」とはしていますが、「具体策の明言は避けている」としています。

 ところが昨日の時事通信の記事では世銀グル^プのMIGA(多国間投資保証機関)つまり世銀から借りたお金の保証をする機関が協力を前向きに考えたいとしています。

 この機関は世銀融資の保険のような働きをしているようです。極め付けは英フィネンシャルタイムズの記事です。日本の保守派やネット右翼の方はこの新聞が大嫌いなようです。

 昨日の記事に「AIIB創設の幸運を信じられない中国ーソフトパワーへの方向転換が奏功 米国の同盟国からも支持獲得」とタイトルされたものがありました。

 日本の保守派やネット右翼の人が聞いたら激怒するような内容です。確かに中国が予想した以上に多くの国が参加したようです。

 世界の力の構造が大きく変化していることを感じます。日本だけが、その変化に鈍感なようです。AIIBに参加しないアメリカでさえニューズウィーク誌のように大きく取り上げているのです。

 安倍政権の札束バラマキ外交は何だったのかという気持ちになります。AIIBに参加するのは20ケ国それも弱小国だけだという情報を上げた外務省や財務省(国際金融関係部署)の敗北と言えるでしょう。

 これではとても日本独自の情報機関設立など夢のまた夢です。今日は某電機株だけが年初来高値をつけました。