AIIBの光と影
今日の株式相場は一時大きく下げたものの後場戻して結局プラスで終わりました。これでゴールデンウイーク明けまで相場はありません。
ゴールデンウイーク明けの相場がどうなるかは全く不明です。国内的には大きな動きがないので、あとは海外の動向次第です。
そこで今日は久しぶりに国際経済ネタです。AIIBについては、当面日米の参加はないと思います。今日久しぶりに本屋さんに行ったら保守系の雑誌がAIIBについて取り上げていました。
日本のブログや雑誌などの論調はもちろんAIIB 反対です。と言うより無視といった方がいいでしょう。AIIBの問題点つまり影については多くの指摘があります。
大きく二つに分けることができます。一つは安全保障上の問題です。中国中心のAIIBに日本が参加するのは中国を利することになり、安全保障上まずいというものです。
もう一つは中国共産党の指導下にAIIBはあり、運営に問題がある。あるいは中国のようないい加減な国の運営ではAIIBは早晩行き詰り、下手に参加すれば損失を被ることになると言った意見です。
またそもそも中国経済自身が破たんしかけているのに、AIIB を運営する資金があるのかなどです。ところで、これくらいのことは参加国なら皆わかっていることです。それなのになぜ57か国もの参加があったのでしょう。
つまりAIIB には影の部分を凌駕するほどの光があるのでしょう。残念なことに日本の保守派のマスコミやブログなどではそのことが取り上げられません。
参加国でもそれぞれ事情が違うと思います。最後になった参加したEU諸国は安全保障上の問題も資金焦げ付きのリスクも少ない割には、中国との関係強化と事業のおこぼれ頂戴の意味もあったでしょう。
しかし、安全保障上の問題にインフラ整備の問題が大きかったと思います。日本の援助はレベルも高く問題も少ないのですが、スピードやレベルの問題があります。
よく日本の援助は援助期間が終わったら使えなくなると言われます。日本の場合、他国に援助する際最高の物を贈ります。中古品や性能の劣るものを他国に贈ったりしないでしょう。
そのようなハイレベルのものを使いこなせない場合が新興国には多いのです。つまりメンテナンスは技術レベルの問題です。また日本の場合、スピードより確実性です。
おじさんの家の近くの国道車線増幅工事は5キロくらいの距離を20年くらいかかってやっています。おじさんの中国での経験から言えばあのくらいの工事なら半年くらいで終わるはずです。
もちろん中国の工事には問題も多いし精度にも疑問がつきます。しかし、東南アジア諸国にとってベストなものよりベター以下でも早くインフラを進めてほしいのです。
また中国の壮大なビジョンもAIIBの光の部分です。一路一帯とか海のシルクロードのような壮大な構想も魅力的です。日本の場合、そのような壮大は発想をすることはありません。
そんな壮大なことを言えばほら吹きとかペテン師と言われるのおちです。とくに社会システムが完成した現代ではそうです。今頃日本列島改造論とか所得倍増など言えば、見識を疑われるだけです。
日本のような潔癖なことを言うより中国のような清濁併せ飲む方の政治が好まれるのでしょう。AIIB 顕著な業績を残す可能性は少ないでしょう。しかし、建前よりも現実を好む政治体制もそれなりに好まれるのです。
AIIBは最後には尻すぼみに終わっても、そのような壮大なビジョンは残るでしょう。紆余曲折はあっても、壮大なビジョンが現実のものとなることが多いのです。
壮大なビジョンを持つ国の方が持たない国より多くの支持を得ることも事実なのです。