新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

安保法制に思う

 久しぶりに政治ネタです。安保法制をめぐる論争も参議院での強行採決でほぼ終わりました。政治好きのおじさんなのですが、安保法制についてはこれまでブログで書いたことがありません。

 安保という言葉を聞くと1960年の安保闘争を思い出します。そのころ安保条約を結ぶと日本が戦争に巻き込まれるというので大反対が起こったものです。

 その頃おじさんは中学生で、当時は社会がゆるゆるだったので学校の先生が堂々と安保条約にの問題について話していたものです。今の中学生と違ってその頃の中学生は中学生同士で安保条約をめぐって議論していたものです。

 その思い出が後の大学紛争にもつながったのでしょう。今回の安保法制についてブログで書かなかったのは、自分の立ち位置が明確でなかったからです。

 今回の安保法制は明らかに対中国警戒感から出たものです。尖閣列島を巡って軍事衝突も起きかねない状況下で、もし軍事衝突が起こったら米国の支援なしには戦えません。

 もちろん、戦いになった時点で日本は終わりですが、米国と結ぶことで中国に衝突の可能性を0にさせたいのだと思います。軍事衝突となれば、日本のような狭い国土に人口が密集し、工場などが一定地域に固まって無防備な状態の中で中国のミサイル攻撃に対抗できません。

 中国としても本気で軍事衝突を考えているはずはありません。強気でどんどん押してきますが、これ以上無理だと思えばすぐあきらめます。

 その点今回の安保法制でアメリカ軍の支援を受けやすくなったでしょう。国際政治は基本的に持ちつもたれつです。かっての冷戦時代なら、アメリカ軍が無条件にソ連の進行から日本を守ったでしょう。

 しかし、かっての米ソ関係と現在の米中関係は異なっています。かってソ連アメリカ企業はほとんどいませんでした。今中国にはアメリカ企業やアメリカ製品ががあふれています。おじさんが中国で買ったプリンターはHP製です。

 おじさんの町にもHPの大きな工場がありました。ですから中国との衝突でアメリカに支援してもらうためには日本もかなりの犠牲を払わなければならないと言うことでしょう。

 安保法制が現実のものとなるのは中国との衝突より、中東や朝鮮半島でしょう。中国との衝突で日本に味方してもらう可能性より日本の自衛隊が中東や朝鮮半島有事においてアメリカ軍と協力する可能性の方が高いでしょう。

 中東の混乱にあたってアメリカは陸上軍を派遣したくありません。イラクアフガニスタンアメリカ人が大勢死んだからです。中東の石油を守るために日本の自衛隊が派遣される可能性もあります。

 また朝鮮半島北朝鮮が内乱になったり韓国へ侵攻したりした場合、やはり自衛隊が韓国にいる日本人を保護するという名目で派遣される可能性は高いでしょう。

 本来自衛隊は文字通り日本の自衛のために軍隊ですから海外で戦争する装備も訓練も情報もないはずです。そんな中で自衛隊を海外に派遣すれば大きな犠牲がでると思います。

 安保法制に積極的に反対しなかったのは、対中国政策においてどう考えてもアメリカの協力なしにはやれないからです。膨大な財政赤字の中単独で中国やロシアに対抗することはできないでしょう。

 問題は安保法制が現実のものとなって自衛隊が中東に派遣されそこで戦うようになった時です。それまで平和国家として中東で見られた日本がある種のメンバーによって敵とみなされるでしょう。

 中東でなくてもヨーロッパ諸国を旅行中の日本人が危害を加えられたり、日本企業への攻撃がなされる可能性があります。そんな時政府はどうするのでしょう。

 対中国政策を考えた時安保法制は仕方がありませんが、自衛隊が国内以外で軍事活動をするようになった時、安保法制を国民がどう考えるかです。

 デモで反対するより投票によって決着をつけた方が効果的です。ところで連休が終わり明日の市場が気になります。