新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

おじさんの日本語教師奮闘記

 今日で5回目の授業です。だんだん慣れてきました。おじさんは2年前は国語教師をやっていたのですが、ひょんなことから再び日本語教師をすることになりました。

 日本語教師と国語教師では資格が違います。意外なことに国語の先生で日本語教師の人は少ないです。国語は日本人つまり、自由に日本語を使いこなせる所謂母語として使っている人を対象とします。

 ですから、話すとか聞くと言う分野は国語の授業には基本ありません。ところが日本語教師の場合、語学教師なので、全く日本語が分からない人に教えるのです。英会話教室の先生をイメージしてもらればいいと思います。

 ところで本題の資格ですが、国語教師には国語の教員免許が必要です。国語の教員免許は中学と高校があります。もちろん、おじさんは両方持っています。

 日本語教師は大学で取得するか日本語教師養成講座に出席してある一定の科目を一定時間学ばなければなりません。おじさんはこの講座を受講して取得しました。文法一つとっても日本語教育の文法の考え方と国語の文法の考え方は全く違います。

 また日本語アクセントなど国語教師では教えません。さて、それでは今何を教えているのかと言うと2年間の日本語学校を修了した学生さんに日本語作文の授業をやっています。正式な科目名は日本語プレゼンテーションです。

 授業名はプレゼンテーションなので意見を戦わせるデイベートや文字通りの意見発表でも良いのですが、残念ながらおじさんの生徒さんはそこまでの日本語能力がありません。

 もしかなりの日本語能力があれば、日本語学校卒業時に大学に進学できるのです。おじさんの授業で提出される作文を見る限りとても大学の授業についていけそうにありません。

 今何をやっているのかと言うと、授業時間は90分です。一つのことを90分もやったら集中がもちません。英語で90分しゃべられたら疲れてしまうでしょう。それと同じです。それで内容を45分45分に分けて毎回やっています。

 最初の45分の内容はできるだけ誰でも書ける内容です。今日でいえば「あなたの国の料理で好きな物」というテーマです。これだと皆いろいろ言います。それを題材に料理の作り方とか逆に嫌いな物とか書いてもらいます。先週は日本の料理にしました。

 好きな物はラーメンとか焼肉とかいろいろですが、面白かったのは、嫌いな料理です。日本人でも関西では嫌われる納豆が挙げられていました。一番印象的だったのは、牛肉です。ネパールではヒンズー教徒が多いので神聖な牛を食べることに抵抗があるのです。

 若い人のも食物タブーがあるのには驚きました。後半は10月に入ってデーター読み取りです。先週は日本人の結婚、今週は日本と世界の人口問題です。このレベルになるとがくんと興味が下がります。

 とにかく何でもいいから、日本語を話し書きなさいと言っています。日本人でも作文の授業は嫌いだし、英作文の勉強など苦痛だったと思います。彼らも今その状態です。

 しかし、日本で生きていこうとするなら、日本語が話せるだけでなく日本語を書けなくてはいけません。辛いと思いますが、何とかやってもらっています。

 おじさんは高齢の男性ですから、学生さんも余りなことはしません。おじさんを侮辱するような言動とか授業中抜け出すとか教室を立ち歩くとかはありません。

 ただ皆良く寝るのです。おじさんが大学生でも90分英作文やドイツ語作文をやらされたら眠くなるとは思うのですが。また、内容が深くなると理解不能になるようです。しかし、将来大学に進学したり就職するとなったら、日本語で文を書くことが必要となるのです。

 中国の大学の学生さんは日本語でA420枚くらいの卒業論文を書いていました。それに比べると今の学生さんは1回400字を書くのも難しそうです。とくにベトナムやネパールなどの非漢字圏の学生さんは漢字が大変なようです。

 来週はアルバイトについてと自動車について書きます。テーマ作文は後スポーツやお祭りなどを考えています。

 明日は授業の準備です。