新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

国際化する人民元

 今日は珍しく国際経済ネタです。よほど経済に関心がある方以外気がつかないと思いますが、タイトルにある通り人民元の国際化が急速に進んでいます。

 人民元はすでに決済通貨としてえは世界で4位になりました。1位はもちろんドルで、2位はユーロここまではすぐにお分かりになると思いますが、3位はポンドなのです。かってはポンドが国際決済通貨だったのですが、そのなごりでしょう。

 去年までは日本が4位だったのですが、とうとう中国に抜かれてしまいました。それだけでなく、2014年と2015年を比較して、中国の人民元の伸びが大きいのです。

 2014年日本は2,5%で、今年は2,76%です。アベノミックスで相当経済が回復したかと思いましたが、伸びはわずか0,2%です。それに比べて中国人民元は2014年1,39%から2015年は2,79%の伸びています。前年比約2倍の伸びです。

 中国と言えばマスコミは経済崩壊、国家崩壊ばかりを報道しますが、現実には日本を抜いて決済通貨として世界的に流通しているのです。決済通貨はよほど信用のある通貨でなければ使われません。

 いつ価値が暴落するか分からない新興国の通貨など欲しくもないはずです。国家の信用がある通貨例えばドルとかユーロならもっていても安心です。

 ところで最近の報道ではIMFのSDRつまり特別引き出し権にも人民元が入るようです。SDRはいくつかの通貨を組合わせたものです。通貨バスケットとも呼ばれます。

 もちろん、円も入っていますが、それに人民元が加わるようです。SDRを構成する通貨はぴか一の信用度があるものです。人民元の場合、その経済規模や決済通貨としての使用頻度からSDRの通貨バスケットの一つとして採用されるようです。

 IMFアメリカの影響力が強いのでアメリカが賛成しないと加えられないようです。今回現状を鑑みてアメリカも賛成するようです。もちろんアメリカが賛成するのに日本が反対するはずもありません。次に書きますが、ヨーロッパ諸国はもちろん賛成なはずです、

 今海外の金融市場のいくつかで人民元の為替取引がなされています。一番ウエイトが多いのがイギリスです。53%を占めます。今回の習主席をイギリスが大歓迎したのもこの比率から良く分かります。

 次がアメリカ11%、シンガポール7.7%、フランス6,8%、日本3,5%と続きます。アメリカと中国の貿易額は大きいのでなるほどと思います。アジアではシンガポールがダントツです。

 フランスはかって中国共産党首脳が留学したほど親中国の国です。そういえばおじさんのいた大学でもヨーロッパではロシアを除けばフランスからの留学生が一番多かったようでした。

 いま世界中に人民元の決済センターがあります。その中で取引額第一位はシンガポールです。アジアの金融市場の中心として活躍しているのが良く分かります。

 前年比で一番決済額が増えたのはオーストラリアです。前年比で+126%でした。日本のマスコミ報道や書籍だけ見ると今にも中国経済は破綻しそうに思えますが、国際金融の世界を見れば全く違った姿が見えてきます。

 おじさんは以前人民元の国際化についてブログを書いたことがあります。今日はその続編とでも言うものです。社会を動かすのはマルクスではありませんが経済です。グローバル化した現代社会においては、国際経済の動きこそが、その国の動向を示すものです。

 少なくとも今国際経済特に国際金融の世界では日本の後退と中国の進出が目立ちます。明日も来週の授業の準備をします。