新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

佐藤勝著「同志社大学神学部」を読む

 今日の株式市場は値上がりでした。おじさんの持ち株のゆうちょ銀行も上場開始で値上がりしていました。しかし、皮肉なことに上場した郵政3社のうちで一番値上がりしていませんでした。

 さて今日は今読んでいるというより今日読み終わった佐藤勝氏著の「同志社大学神学部」という新書について書きます。佐藤氏はご存じの通り鈴木宗男氏の事件に連座して執行猶予付きの有罪判決を受け外交官を失職した方です。

 余り知られていませんが、彼は同志社大学の神学部大学院の修了なのです。彼の専門はチェコ神学者ロマドカ(フロマートカ)です。

 フロマートカと言われるとなじみがないので以下ロマドカで通します。ロマドカは共産圏にあってプロテスタント神学を成し遂げた人です。おじさんが大学生の時から彼の名前を知っていました。

 彼がキリスト教共産主義との間に対話をもたらそうとしたことは良く知られています。おじさんが大学生だったのは1960年代後半のことです。

 彼の本の中でロマドカの名前と業績を見て懐かしくなりました。著者については、外務省のラスプーチンと言う人もあります。ラスプーチンロシア革命直前に活躍した怪僧です。

 佐藤氏は旧ソビエトの情報分析の責任者だったのでそう呼ばれているのです。今回読んだ同志社大学神学部という本は著者の大学時代の回想です。

 これだけ読んでも著者がキリスト教神学に深い造詣をもっていることが分かります。おじさんが大学時代聞いた懐かしい欧米の神学者の名前がでてきます。

 この本を誰が読むのだろうとも思いました。人口の1%以下のクリスチャンしかいない日本キリスト教神学について語っても分からないと思います。

 そもそもロマドカはもちろん、バルトやブルトマン、ブーバーなどと言っても名前を知っている人が何人いるでしょうか。そういえば数年前ある神学部の組織神学の授業を受けたらバルトの論文を取り上げていました。

 バルトはスイスのバーゼル大学の神学教授で、近現代最大の神学者と言われています。今なお世界のキリスト教神学界に大きな影響を与えています。

 おじさんは授業を受けましたが正直なところ何を言いたいのかさっぱり分かりませんでした。論理の飛躍が大きくおまけに比喩に満ちた表現だからです。

 ブーバの「我と汝」という本は少し読みました。私である神が汝(あなた)に直接問いかけると言う考えだったようです。他の人はどうでもよい、あなたはどうなのですかという厳しい問のような気がしました。

 題名とその考えがとても印象的でした。ところで神学部で学ぶためには相当な語学力が必要です。最低ギリシャ語、さらにはヘブライ語、この二つは聖書の原典を読むのに絶対必要なのです。

 仏教でもサンスクリット語梵語・・古代インド語)が読めなければ仏教の原典に遡れません。仏教学の専門家は皆サンスクリットが読めるはずです。お寺のあちこちにサンスクリットの文字があります。

 原典以外に研究のためにはプロテスタントの場合、ドイツ語と英語が必須です。カソリックや中世のキリスト教神学をまなぶためにはラテン語を学ばねばなりません。

 著者はドイツ語で論文を読んでいますから相当な語学力です。おじさんは語学がさっぱりなので、著者を尊敬します。

 著者については少し偏見をもっていましたが、今回この本を読んで相当キリスト教理解が深いことを知りました。彼の時代の神学部の学生は信じられないレベルの勉強をしていたようです。

 おじさんは大学生時代キリスト教に入りました。それからまもなく50年になろうとしています。一度もキリスト教をやめようと思ったことはありません。逆にキリスト教を信じていたがゆえに困難を乗り越えることができたと思います。

 普通であれば、みなさんも読んでみてくださいと勧めるところですが、キリスト教に関するよほどの知識がないと読めないので余りお勧めできません。アルバイトとサークルで大学生活を過ごす学生さんもいますが、中には著者のような大学生もいるのです。

 明日は学生さんの作文の添削です。