新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「ノモンハンの夏」(半藤一利著)を読む

 今日は一日小バス旅行をしていました。JRを使うと短時間で行けるところを、バスを使って相当大回りして目的地に到着しました。

 帰りは何と1時間以上バスがないというところです。それでも何とか無事帰りつきました。ところでタイトルに書いた本を今読んでいます。

 ノモンハン事件は蒙古軍とソ連軍の連合に日本軍が大敗した事件です。最近ソ連側の状況が明らかになってソ連軍も日本軍以上の損害を被ったので引き分けだという意見もあります。

 しかし、この事件が後の日本の敗戦とかかわっていることを考えると、損害の数だけで判断するのは間違いでしょう。作戦は失敗したが、現場の日本兵が奮闘したので相手に思いがけない損害を与えたというところです。

 この事件の失敗は有名な「日本軍における失敗の研究」とぴったり一致します。そして多分現在も同じ失敗を犯しつつあるのではと思います。

 この事件は出先である関東軍が東京の参謀本部と意向を無視して暴走したところから始まります。出先を中央が抑えきれなかったのです。そういえば、このところ話題になっている旭化成の子会社の従業員によるデーター不正事件もこれに似ています。

 本部に該当する親会社が子会社の不正を見抜けなかったため大損害を被っているのです。東洋ゴムの不正データー事件もそうです。

 もちろん、出先でなく中央が不正を行ったオリンパス東芝VWなどがあります。ノモンハン事件の場合、いけいけの若手が暴走しそれを上級者が止められなかった例です。

 安保法制の改正で自衛隊が海外で活動することになった場合、相手のことをどれだけ知るかが大切です。あるサイトを見て居たら拉致被害者自衛隊が救出するのは不可能だと書かれていました。

 さらに、そもそも自衛隊が海外で本格的に活動するのは困難だと書かれていました。その通りです。そもそも自衛隊は国内で活動するために作られた組織ですから、海外の情報を入手するすべはありません。

 十分な情報なしに戦闘を行えばノモンハンの時の日本軍のようになります。この時は情報も不足していました。とくに日本の場合自分が優勢だと相手を低くみる傾向があります。

 ノモンハンの時もソ連軍の力を過小評価したのです。今中国の実力を日本は過小評価しているきらいがあります。人民解放軍がいかに弱いかという本が出ていました。確かに人民解放軍は発展途上にあります。

 しかし、どんな場合でも相手を過小評価するとひどい目に会います。南シナ海でのアメリカ海軍の行動も極めて慎重です。中国を軽く見るところはありません。

 アメリカが臆病だとか腰が引けていると言うのは簡単ですが、世界最大の情報網を持つアメリカだからこそ慎重なのだと思います。

 南シナ海への介入を避けるべきだという女性議員の意見については散々たたかれていました。そんな弱腰だと中国になめられると言うのです。

 中国は強く出れば引き弱く出ればのさばると言われます。北朝鮮もそうです。ノモンハンの時の関東軍ソ連軍への見方がまさにこの通りだったのです。

 ソ連は強くでれば引き弱く出ればのさばると言うのです。それでこちらが強く出たらそれ以上に向こうが強くでて大損害を被ったのです。砲撃戦と戦車戦で大敗しました。

 補給が不足していたこと、砲や戦車の性能に差があったこと、状況をきちんと把握できなかったことが敗因です。補給と情報の不足は現在も同様です。自衛隊保有する弾薬など一度会戦を行えば吹っ飛んでしまいます。

 情報については先述した通りです。国内はまだそも海外の情報を戦闘するのに十分なほど収集するのは不可能です。補給については弾薬だけでなく医療についてもいざ戦闘となった時どれだけ十分な医療体制を作れるのか不安だと書いたサイトを見たことがあります。

 おじさんの弟の嫁は自衛隊の看護師(1尉)だったので余計心配です。まあ弟の嫁はすでに退職しているので戦闘に参加することはありませんが。

 今の政治状況や社会状況を見るとなんだかノモンハンの時に似ているような気がします。ノモンハン事件の教訓を政治家はぜひ学んでほしいものです。

 明日は日曜日なので教会です。