新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

真理は些事(さじ 小さな事)に宿るーアメリカ軍艦の上海寄港

 先日さりげない記事でしたが、注目すべき記事がありました。それは先日アメリカ海軍の艦艇が上海に寄港し中国海軍と訓練を行うという記事です。

 おやおや、日本のマスコミ報道ではアメリカは中国の南シナ海の埋め立てに対抗するため、海軍艦艇を島の周辺に航行させたのでは。また保守派のマスコミは、これでアメリカも中国の活動をけん制する、あるいは断固許さないという見解でした。

 さらには、アメリカはこれをきっかけに中国と対決姿勢を取るというものでした。おじさんはこの見解に疑問をもっていました。アメリカにとって中国は重要な経済関係にある国です。

 以前も書きましたが冷戦時のソ連とは違うのです。そういえはアメリカ海軍の艦艇が島の周辺を航行した時中国政府は非難を抑制しました。

 これについて、保守派の報道はアメリカの強気の姿勢に中国が恐れをなして沈黙したので、これからは米中関係は厳しいものになると報じていました。

 中国側もアメリカ海軍の艦艇が島の周辺を航行した時非難を抑制しましたが、報道によればアメリカ側も中国に対する直接的な圧力と取られないような航行をしたようです。

 それに、先日のアメリカ海軍の艦艇が上海に寄港し中国海軍と共同で訓練をするという報道です。さりげない行動ですが、中国に対するアメリカのサインだと思います。

 以前も書きましたが、外交においては記者会見や声明文以上にさりげない行動に大きなサインが出されることがあります。

 ずいぶん昔のことですが、日中が国交回復直前に卓球の団体が来日しました。それをきっかけに日中国交回復交渉が進展したのです。当時ピンポン外交と言われたものです。

 おじさんがずいぶん昔読んだ外交についての本でもさりげないサインに重大な意味があると書かれていました。たとえば、それまである国の外交官がこちらの外交官との接触を禁じられていたとします。その国の外交官から何気なくパーティーで話しかけられたとしたら、それは相手国がこちら側と話し合いというサインなのです。

 先日あった台中首脳会談でも相手を肩書きでなく「先生」という尊称で呼びました。相手をどの肩書きで呼ぶかということすら外交上重要なことなのです。

 肩書きでなく「先生」で呼び合うことで、取りあえず政治的な立場は棚上げにして、会うことから始めようということなのです。

 相手をどう呼ぶかだけでさえ大変な問題なのに、一国の海軍艦艇が他国に寄港するなどというのは大変な外交問題です。相手国の承認がなければ戦争になります。まして上海という港の中国における地位を考えれば大変なサインです。

 日本で言えば横浜に中国海軍の艦艇が入港するようなものです。それではこのサインは何でしょう。すぐにお分かりになると思いますが、アメリカから中国に出したサインです。

 寄港の申し出はどちらから出したのかは不明です。多分アメリカからだと思います。イラクを含め中東やアフガニスタンで大変な時に本格的にアメリカが中国とことを構える気はないと思います。

 ただ日本を含め東南アジア諸国から、南シナ海での中国を何とかしてほしいと言う要望があったのでしょう。それで、分かりましたというサインとして海軍艦艇を航行させ、中国に対してはいやこれは東南アジア諸国への義理でやっているだけです。

 本気で中国と対決する気はありませんという意味で海軍艦艇を上海に寄港させたのでしょう。多分寄港を決定したのは、南シナ海アメリカ海軍の艦艇が航行する前だと思います。

 上海寄港の確約があるからこそ中国側も南シナ海でのアメリカ海軍の艦艇航行をそれほど非難しなかったのだと思います。日本政府もまあそのくらいのことは分かっていたと思います。

 おじさんでも分かるくらいですから。ただ中国嫌いの保守派の人にはアメリカの態度は許せないでしょう。そういえば間もなくIMFのSDRに中国元が採用されるようです。

 だんだん円の国際的地位が下落して中国元にとって変えられそうです。まあしばらくは中国の隆盛が続きますが、後10年くらいで中国も高齢化しますので、それまでの我慢比べです。

 木曜日と金曜日は忙しいのでブログはお休みです。土曜日にまたお会いしましょう。