敵の敵は味方ーフランステロ事件の波紋
さて今日はフランスのテロ事件の波紋についてです。ISはイラク・シリアの地域での劣勢を挽回するためにテロを実行したと思います。
フランスを狙ってのは、他の周辺国よりテロを実行した場合の影響が大きかったからでしょう。このところフランスが立て続けに狙われるのは、隣のベルギーなどに潜んで、フランスでテロをするのが一番やりやすかったからでしょう。
ドイツの場合、警備が厳しいしイギリスの場合島国で人を移動させたりするのには不都合だったからでしょう。それにイギリスの諜報機関は手ごわいからです。
それではこのテロ事件はどのよう波紋をヨーロッパ諸国に及ぼしたのでしょう。ISは今回のテロで何らかのプラスがあったのでしょうか。
今のところテロの影響でフランスを含む欧米諸国がひるんだとは思えません。逆にフランスを怒らせてそれまでIS攻撃に消極的だった姿勢を転換させたと言えるでしょう。
一番得をしたのはロシアだと言うのが衆目の一致するところです。それまでロシアのクリミア併合やウクライナ問題でロシアを非難してきた欧米の世論が一転しました。
ロシアのシリアでの反政府勢力爆撃については欧米諸国は警戒の目で見ていました。それが今回のテロで大きく変わりました。
今はアメリカもロシアと協力し合う姿勢さえ見せています。ロシア旅客機の爆破事件でも、本来はロシアにとって痛手なはずですが、逆にフランス同様ISの攻撃にさらされたという同情の目で見られています。
ISにとってこのような流れは誤算だったと思います。テロによって欧米諸国の世論をIS攻撃からの撤退へと向けようとしたのでしょうが、逆にそれまでばらばらだった欧米諸国とロシアが結びつけてしまいました。
ISを倒すには爆撃だけでなく、地上戦が必要です。アフガニスタンでの戦闘に懲りた欧米諸国は地上軍を派遣する気はありません。今シリア軍以外でISと戦っているのは、イランの民兵とクルド人民兵くらいでしょう。
逆にアメリカが空から援護し、ロシア軍がISを地上から攻撃するという可能性もあります。問題はISを撃退した後です。その地域をどこが支配するかで問題が起こるでしょう。
欧米諸国は現シリア政権に反対しています。今ISが占領している地域をそのまま現シリア政権に渡すわけにはいかないでしょう。
シリア問題では現シリア政権をどうするかが中心です。だからと言って反政府勢力もばらばらです。ISを追い払っても問題は解決しようがありません。
敵の敵は味方です。では敵がいなくなったらどうでしょう。味方でなく敵に戻るだけです。再び欧米諸国とロシアの対立へ戻るだけだと思います。
明日は不動産登記のために別荘を所管する法務局出張所へ行きます。その後リハビリと一日忙しいです。