新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

映画「杉原千畝」を見に行きました。

 今日は久しぶりに映画を見に行きました。おじさんの家からバスで1時間くらい離れた繁華街の映画館です。そういえば、今年になって最初に行ったのは「日本の一番長い日」でした。

 ツマクマが亡くなってから(キリスト教では召天と言います。)週一のアルバイト以外結構時間があるのです。と言っても週2回リハビリに行っているし、授業の準備などがあって完全に空いているのは土曜日だけです。

 さて、今日見に行った「杉原千畝」はご存じの方も多いと思います。命のビザで知られている方です。おじさんが杉原千畝のことを知ったのはずいぶん前のことです。

 有名な「シンドラのリスト」と言う映画が流行った頃です。日本にもシンドラに負けない人物がいたという話を聞きました。彼の伝記も読みました。

 彼は単なる博愛主義者ではありません。もちろん、困っているユダヤ人を助けたのは事実です。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、彼は優秀な情報官だったのです。

 そのため、映画でもありましたが、ソ連のモスクワ大使館への赴任を拒否されます。有名な「ペルソナ・ノン・グラータ」です。日本語でいえば「好ましからざる人物」と言う意味です。

 どこの国でも大使館員が情報収取するのは当然です。最近でもロシア大使館の武官が自衛隊OBから情報収集をした事件がありました。日本の公安警察も外国の大使館員を見張っているはずです。

 ですから入国前に赴任を拒否するというのはまれです。それほど優秀な情報官だったのでしょう。残念ながら杉原の能力を日本の外務省は使いこなせなかったようです。

 話は変わりますが、彼がユダヤ人を救った根底には彼がキリスト教徒だったこともあります。かれはギリシャ正教の信徒だったのです。ギリシャ正教はロシアの中心的な宗教です。

 映画でも彼が教会でお祈りする場面があります。単に教会に敬意を表したのとは違います。心から神を信じていたのです。

 ですから、外務省からビザ発行を許可されなかったのに自分の判断で発行できたのです。宗教的信念が根底にあったと思います。もし、彼が教会の礼拝堂でイエスと一人で向かい合ったとします。その時イエスから、あなたはどうすべきでしょう。と聞かれたとします。

 自らの外務省での立場がありますから、ビザを出せませんとイエスに言ったとしたら、彼は一生後悔するでしょう。ユダヤ人たちが、出国できなかったら皆死ぬと分かっているのですから。

 先日「一粒の麦」の話を書きました。杉原はまさに自分の将来を殺したことによって多くの実を結ばせることができたのです。もし、杉原が自らの立場を守るなら、彼の名は昔そんな人がいたで終わったでしょう。
彼の業績が日本に与えた影響は大きかったと思います。

 ユダヤ人は彼を「諸国民の正義の人」と称えました。諸国民とはユダヤ人以外の人と言う意味です。ユダヤ人ではないけれどユダヤ人を救った人と言う意味です。

 ナチスユダヤ人を迫害することに正義はありません。迫害されたユダヤ人を救うことが正義なのです。杉原のおかげで、あの戦争の時代日本人でも正義の人がいることを世界に証明しました。

 ユダヤ人の影響力はアメリカでも強いです。もし、逆に杉原がユダヤ人をないがしろにするようなことをしていたら、ユダヤ人は永遠にそのことを忘れないでしょう。

 すべてを水に流すのは日本人くらいです。見に来ているのはおじさんやおばさんばかりでした。是非若い方に見てもらいたいと思います。

 明日は教会です。第一主日なので長老会(役員会)があります。