三菱自動車問題ーデーター改ざんの誘惑
このところ地震問題に世間の注目が集まって三菱自動車問題が目立たなくなっています。日本経済は素晴らしいという内容の雑誌記事を目にしましたがそうでもないのが現状です。
商社では三井・三菱・住友などが資源でつまずいてさっぱりです。丸紅もそうです。そんな日本を代表する会社が減益になる中、三菱自動車問題は全く別格です。
理系の場合、必ず再試をやるので、間違いなくその時点でばれるのです。ばれると分かっていても、何とか一時しのぎをしたいと思うのです。
それは不正経理よりデーター改ざんの方が簡単だからです。簡単と言うのは変ですが、専門家の間だけでデーターは扱われるからです。
先述したように追試があるまで、誰も分からないのです。不正経理の場合、経理担当者も含めて大勢の人間が不正を知っています。それに比べてデーター改ざんはデーターを扱う人間だけだし、出てきた数字は何の不思議もないものです。
不正経理の場合、相当数字をいじらなければならないのですが、データー改ざんはデーターの数字を例えば0.9から1.0にするだけです。
おじさんが某特殊法人立の専門学校で教えていた時、このことを学生さんに強く言いました。データー改ざんはその会社の存立を危うくし、自らの社会的地位をすべて失うことになると言いました。
もし、上司からデーター改ざんを命じられたら即退職しなさい。データー改ざんに手を染めず退職したら、道は開けるがデーター改ざんした後責任追及されたら、仕事を見つけることはできないとも言いました。
さらにデーター改ざんで事故があれば刑事責任も問われるし、民事上の責任を問われることもあると教えました。おじさんも大学院の修士論文ではデーターを取ってそれの分析をしました。
ご存じのように論文は仮説をもとに研究を進めます。仮説に基づいてデーターを取り、それが仮説と合致していれば、論文は完成するのです。しかし、1年かけてデーターを取ったのにデーターが立てた仮説に合致しないことがあります。
そうなれば、1年間の研究は無駄になります。修士論文の場合、修士を修了して就職が決まっているのに論文が完成しないことになります。そうなるとデーターを改ざんして、自分の仮説に合うようにしたいと言う誘惑にかられるのです。
今回で3度目の不祥事だそうで、さすがに三菱グループも今回は助けてくれないかもしれません。日本人のモラルは素晴らしいと言われるのにどうも企業のモラルはそうでもなさそうです。
こんなことがあると、民間に任せればすべてうまくいくという主張も危うくなります。明日は授業の準備をします。