新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日本語の文法を教えていて考えたことー良い使われ方悪い使われ方

 昨日から、日本語の授業で文法を始めました。日本語教育のおける文法と国語教育における文法の違いについては以前書いたことがあります。

 国語教育は日本語を母語とする人のためです。簡単に言えば、日本語を自由に使いこなせる人たちです。ですから、いわゆる文法は全ての日本語を基本的にはどれかの分類に入れるものです。

 その最たるものが、品詞分類です。日本語が必ずどれかの品詞に該当するのです。例えば動詞・形容詞・副詞などです。日本語の文法体系を勉強すれば、全ての語の働きが分かる便利なものです。形式によって分類すると言ってもいいです。

 ところが、日本語教育の文法は働きを中心にやります。ですから極端に言えば膨大な用法を覚えなければならないのです。また、ある語の説明がとても難しいのです。

 日本人の場合、ある語を使用する場合、語の働きを考えながらやるわけではありません。それでも間違った使い方をすることはまれです。

 しかし、類似する語の差異を説明しようとすると極端に難しくなります。テキストでは「~ばかりだ。一方だ」という語の説明として、「「一方向に変化が進行していく」とあります。

 「ようとしている」については「~という変化が起こる少し前」とあります。ただベトナム人の学生さんやネパール人の学生さんがこの説明を聞いて「一方だ」とか「としている」の意味を理解できるか疑問です。

 ただ説明をしていてあることに気づきました。それは以前日本語教師養成講座で、日本語には良い意味で使われるものと悪い意味で使われるものがあるということです。

 今回授業しながらそれに気づきました。例えば「病気が悪くなる一方だ。」と「病気が良くなる一方だ」を比べてみてください。悪くなるの方がなじみやすく、良くなるには違和感があります。

 これは「一方だ」と言う語が悪い意味で使われることが多いからです。「最中」もそうです。「最中」の意味は何かをしている時に別のことが起こるのです。それは本来不要なことなのです。

 例えば「面接を受けている最中に携帯電話がなった」です。これは相当まずいです。また「洗濯している最中に断水した」などです。「ばかりだ」も「薬を飲ん飲んだが、悪くなるばかりだ。」という悪い意味の使い方になります。

 では良い場合はどうでしょう。「つつある」などがそうです。これは「病気が悪くなりつつある」はちょっと変で「病気がだんだん良くなりつつある」の方が普通です。

 「からして」も悪い意味で使われます。「服装からしてあいつはだらしない。」という感じです。日常生活ではほとんど意識したことはないのですが、教えてみて気が付くことが多いです。

 実は良い意味で使う、悪い意味で使うとという分類は検定試験の時、選択肢を選ぶ手がかりになるのです。「からして」に続く文は悪い意味の内容になるからです。

 選択肢からそれを選べばよいのです。と言っても学生さんは意味が分からないようです。考えてみれば、日本人でもおじさんの言う意味が分からない人が多いでしょう。

 一つの言語を習得すると言うのは並大抵のことではないと思いました。明日はポステイングです。今回は広告が3枚で楽です。