新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

先手必勝か拙速かー安倍首相のトランプ会談

 今日は授業の準備をしたり、家の整理をしたりして過ごしました。昨日の夜は雨がひどかったのですが、朝になって上がりました。
 さて、昨日安倍首相とトランプ氏が会談しましたが、この会談をどう評価すべきなのでしょうか。あるマスコミは安倍首相が世界に先駆けてトランプ氏との間に友好関係を結んだと評価しています。
 別のサイトではまだトランプ氏の政策がはっきりしないときに訪問しても意味がないとしています。さらには、まだ大統領になったわけでもないのに、こちらから尻尾を振るような真似は日本がアメリカの属国であることを証明したようなものだとします。
 物事にはタイトルに書いたように先手必勝という言葉があります。まず人より先に何でもしないと負けてしまうという考えです。まだトランプ氏の政策が固まらないうちに、こちらの意見を言えば影響を与えることができるというものです。
 逆に拙速と言う考え方もあります。何も決まっていないときに、来られてもどうしようもない。仕方がないから会うだけ会おうというものです。さらには、世界中がトランプ氏の政策発表を待って態度を明確にしようとしているのに、抜け駆け的にトランプ氏に会うというのはどうかと言う考えもあります。
 今のアメリカ情勢は、ちょうど山に登って、この道で良いと思って進んでいたら、道に迷った状態です。こんな場合、こちらが正しい道だろうと思って急いでそちらに行くのは得策ではありません。
 あたりの様子をじっくり見て判断するのが良いでしょう。国際関係は一国だけが独自に動くのではうまくいきません。相手の出方を見ながら判断する必要があります。
 今回安倍首相が会談を急いだのは、TPPの問題があったらかだろうと思います。無理をしてTPPを国会で通したのに、肝心のアメリカが批准しないのでは、国内世論が承知しないでしょう。
 それゆえ何としてもトランプ氏にTPPを批准してもらおうと思ったのでしょう。もし、TPPが破たんするとなると、日米でけん引したのですから、日本の責任が問われるでしょう。
 逆に傍観していた中国の立場が強くなります。アメリカのアジア回帰がストップすれば、アメリカから離れて中国につく国もでるでしょう。
 しかし、産業の国内回帰、保護主義的政策を打ち出して当選したトランプ氏が安倍首相の意見を聞いてすぐ政策を変更するとも思えません。
 ビジネスマンであるトランプ氏は相手に都合の良いことを言って安心させ、一方では自分に利益になることをするはずです。これまでTPPに反対してきたのですから、何か得るものがなければ賛成に転じないでしょう。
 その得るものを安倍首相が示したかどうかです。もし他のTPP諸国に黙って何かをサービスしたら後々困ったことになるでしょう。
 また世界中特にEU諸国はトランプ氏に警戒感をもっています。その中で他を出し抜いて一人トランプ氏に会ったとなったら、EU諸国は安倍首相に不信感を持つ可能性があります。
 アジア諸国も抜け駆けと見ている可能性があります。そうなると世界中から、日本はずるい国だとか、日本はやはりアメリカの犬で、尻尾を振ってついていくだけだとみられる可能性もあります。
 小国フイリッピンの大統領は堂々と現役のアメリカ大統領に盾を突き、中国と日本を両天秤にかけるような政策を行っています。フイリッピンの大統領が就任前のトランプ氏に会いに行くとは思えません。
 中国の習近平主席も同様です。ドイツのメルケル首相などトランプ氏に不信感をもっています。安倍首相はしばしば毅然たる態度という表現を使います。
 おじさんの考えではこんな時こそ毅然と構えて、大統領就任後堂々と会えばよかったと思います。安倍首相の行動は世界からは日本の焦りとしか見られないでしょう。
 明日は教会です。午後から教会修養会があります。