「米中戦争」その時日本はーを読む。中国軍は強いのか
先日買った「米中戦争その時日本は」という本を読み終わりました。作者は元自衛隊幹部です。結論から言えば、まだまだ中国軍(中国人民解放軍)はアメリカ軍にはかないません。
どの分野をとっても取りあえず勝てる分野はないのです。それでも10年前に比べると中国軍は格段に強力になっています。鄧小平の改革開放政策以来、伝統的な陸軍重視から海空軍重視へと変化しました。
もともと中国軍の正式名称である中国人民解放軍という呼称で分かるように、人民を解放する軍隊として成立したのです。また他の国と違って、政府あるいは国家の軍隊でなく党の軍隊というのも特徴です。
党の軍隊ですから、最終的には党を守るということになります。さりとて中国では国家=党ですから、党を守ることは国家を守ると同義になります。もちろん、理論的には国家と党が対立したら、軍は党につくということになります。
鄧小平の改革開放政策で中国の目は海外に向けられます。ここから海洋進出が始まると言ってもいいでしょう。2000年になってその勢いが急速に拡大しています。
ところでタイトルの副題「中国軍は強いのか」という問題についてです。ある新書ではいかに人民解放軍が弱いかについて取り上げていました。これは中国軍の全体ではないと思います。
中国軍全部が腐敗しているわけではありません。外国人であるおじさんたちに礼儀正しく対応した軍人(士官)も知っています。また町から軍に入った若者をたたえる横断幕を見たこともあります。
かっての紅軍を題材にした踊りを楽しそうに眺める庶民の姿を目にしました。60周年の軍事パレードの時、おじさんの大学の学生さんから先生ぜひパレードを見てくださいと何人もの方から電話がありました。
ある大学の先生は解放軍は市民に評判がいいのですよと聞いたこともありますし、軍人割引を見たこともあります。つまり、日本人が思っている中国軍のイメージと中国国民が中国軍を見ているイメージとは違います。
ところで軍事面ですが、日本と比べて格段に落ちるのが対潜水艦戦です。日本の場合長い時間をかけて訓練を積んできたし、潜水艦戦で過去ひどい目にあっているので、力の入れ方も相当なものです。
潜水艦の静粛性についても日本の潜水艦の方が優れていると思います。海上艦船についても、訓練の程度や艦隊行動などは日本の優勢でしょう。海軍力は歴史と伝統が物を言います。艦船の数ではありません。
ただ潜水艦は別にして水上艦については急速にレベルが上がっていると思います。遠洋航海も回を重ねているようです。航空勢力についても日本の方が上でしょう。
こちらも急速に力をつけています。それでは中国軍が日本に優勢な分野があるのでしょうか。陸上勢力については中国軍が海を渡って日本まで攻めてくる可能性は低いので比較できません。日本が中国本土に侵攻する可能性がないのと同様です。
では何かというと宇宙での戦いとサイバー戦の能力です。有人衛星を軌道に乗せて回収する力があるのは、中国を除けばアメリカとロシアだけです。すでにこの分野では日本を抜いていますが、アメリカを抜くほどではありません。
これからは、目に見える戦いの他に目に見えない戦いが重要なってきます。また、日本の場合、衛生面や小火器などで相当世界から遅れていると思います。
一時機関短銃などと言うわけのわからないものを作りましたが、ガンマニアのおじさんからすれば、世界の流れに数十年遅れています。あれでは市街戦は戦えません。
兵器の国産化もいいのですが、基幹となる装備についてはやはり世界のトップレベルのものを取り入れたいです。戦前から日本の小火器類は世界に遅れていました。多分刀狩のせいで、市民が武装するという発想がなく小火器に対する技術蓄積がなかったのでしょう。
まあ取りあえず日中戦争はなさそうなので安心です。いざ戦争となったら、国内の中国人は一斉に引き上げるでしょうし、中国の日本資産は凍結されるでしょうから、企業の損失は膨大なものになります。
戦争の推移よりそちらの方が怖いです。明日は午前中は臨時のポスティング、夕方から学校の忘年会があるのでブログはお休みです。