新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

高校入試の思い出ー実施者側から

 今日はポステイングでした。折り込み広告も少なく、指定もなかったので早く済みました。ところで昨日はおじさんの県の高校入試でした。
 おじさんの県では圧倒的に公立高校優位なのです。有力私立もありますが、ほとんど県庁所在地に固まっており、地方では公立高校が圧倒的に優位に立ちます。
 大都市圏やその周辺とは大違いです。それに地方だと出身校のネームバリューが大きいのです。どこの大学を出たかよりどこの高校を出たかが話題になります。
 さて、高校受験の経験はあっても実施する側の経験はほとんどないと思います。実は県立高校にとって最大のイベントがこの高校入試なのです。
 何かトラブルがあるとマスコミの取材攻勢があるし、地方新聞の大きなネタになります。校長以下の管理職の管理責任も問われます。
 まず受験業務は願書受付から始まります。受験番号を振って内申書や願書に間違いや書き落としがないかチェックします。チェックするのは管理職とすでに授業のない3年関係職員です。
 高校の場合2月は家庭学習と言って生徒が学校に来ないので3年関係職員は時間が空いているのです。内申書の場合、中学校長印を忘れている場合があるのでそれもチェックです。
 一人一人の内申点の合計を出したり、記述部分を抜き出したりします。資格(英検2級とか剣道2段とか)も書きだします。生徒会役員などもです。
 入学試験一週間前には全校職員で受験の事前準備と当日の流れ及び担当(分掌)について説明会があります。試験前日は授業を昼までで打ち切って試験場作りをします。机の上に彫り込みなどがあると机を入れ替えます。また机の上がでこぼこでもダメです。壁の落書きは全て消します。
 掲示物は全て撤去します。机の中が完全に空なのかもチェックします。最後に校長が全ての受験場を点検して初めて準備完了です。問題用紙は拠点校に取りに行きます。
 学校の事務室には巨大な金庫があるのでそこに保管します。そして金庫のダイヤルを封印して校長が封印に印を押します。金庫の前には若手教員が保健室からベッドを借りて来てそこで寝ます。
 試験当日校長が封印を確認しあけて、試験本部へ持ち込みます。試験本部はほとんど会議室を使います。試験本部の担当は大体主任主事がなります。(教務主任・生徒指導主事・学年主任など)
 それ以外の職員は交代で試験監督をします。試験開始まで相当緊張します。問題は封印された袋に入っていて、配布直前に開けて並べます。
 試験終了後は枚数を点検して段ボールに教科ごとに入れます。試験が終了するとほっとします。答案は封印してやはり校長が押印し収納します。
 次の日から採点です。以前は採点中学校を休業にして全員で採点していたのですが、今は特定の採点委員だけでやっています。大体5人程度です。
 採点後メンバーを変えて3回くらい点検し、集計を3回くらい同じように点検します。最後に採点委員全員で合計点を出します。採点は名前の部分を隠してやります。
 採点は2日くらいかかります。おもしろいのは採点中、採点委員にはお弁当が出ます。入試業務には手当が出るのです。それからです。お菓子とコーヒーなども出ます。お金はでません。
 試験当日には全員のお弁当が出ます。ある校長の時万一全員食中毒になったら試験できないので、2つの業者に弁当を注文したことがあります。パイロットが別々の食事を食べるのに似ています。
 でも責任が重いので皆採点委員から外れるのを願います。後は主任主事を中心とした選考委員会で合格者を決めます。ここでミスると大変なので、合格発表前も相当緊張します。
 何度も掲示板や中学校へ送る試験結果を確認します。おじさんが進路指導主事をしていた時、ある大学の推薦入試の結果が来たのですが、何と別の高校のでした。こんなことが起こったら大変だからです。
 宛名の中学と送る中身が合っているのか数人で確認します。受験する生徒さんも大変でしょうが、実施する側も大変なのです。
 明日はちょっと繁華街にお出かけする予定なのでブログはお休みするかもしれません。土曜日の午後から講演会を聞きに行く予定なのでこちらもお休みする可能性があります。