新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

「出世と肩書」(新潮新書)を読むーおじさんの県の場合

 先日「出世と肩書」(新潮社新書)を読みました。日本は肩書社会なので肩書が大きな役割を示します。と言っても企業や国、地方自治体ではいろいろな肩書があります。
 また「肩書」と「地位」のバランスがラインでない場合難しいです。またラインであっても地位の上下を判断するのは難しいです。
 例えばおじさんの県の知事部局の場合「局長」と「部長」では部長の方が偉いのです。普通は局長の方が偉いと思います。
 では「理事」と「部長」ではどうかと言うと、教育委員会(おじさんの県では教育庁と呼びます。)では理事の方がえらいのです。
 それでは「校長」と「理事」ではどちらが偉いかと言うと当然理事です。しかし、教員出身の理事は学校に戻る時は校長で戻ります。
 すると同じ校長なら古株の校長の方が上位に立ちます。つまり教育委員会にいた時は上司でも現場に戻ると下っ端と言うことになります。
 そうなると理事のころ威張っていると後で大変なことになります。教員の場合、指導主事などになると出世と思われますがそうでもないのです。
 おじさんの県では係長級の指導主事と課長補佐級の指導主事とがあります。係長級の指導主事の場合、戻るときも平の教員で戻ります。
 課長補佐級の指導主事だけが教頭として戻るのです。平の教員の場合、新卒から定年前の教員までいます。しかし、皆一律に扱ったのではボーナスなどの時困ります。
 そこである号給以上だと係長待遇、さらに年をとると課長補佐待遇でボーナスを出します。50才を過ぎると給与面では課長補佐レベルまで行きます。
 もちろん事務系も負けてはいません。ライン職ではポストの増設は難しのでスタッフ職で待遇します。以前事務室では事務長と主査と主任だけでした。
 ところが事務長については参事をつけて参事事務長としたのです。もちろん参事のつかない事務長もいます。これで事務長になってもさらに上の肩書が出来たのです。
 当然主査もその上に事務次長を作りました。それに参事補佐をつけて県の課長補佐クラスにしたのです。主査は大体係長級です。
 主査自身にも上の位を作って企画主査としました。とにかく細分化です。事務室の場合職員が少ないのでこれでよいのですが、参事補佐も増やせないので今度は企画主査の上に企画幹を作りました。
 おじさんたち教員の世界ではせいぜい主任とか主事くらいが肩書です。と言っても行政の人と違ってその任期が終われば単なる教員に戻ります。
 手当も一日200円程度です。それでも政令で決まっている教務主任とか学年主任などになると一応辞令をもらいます。
 図書主任などは政令で決まっていないので辞令がありません。ところが図書館で働く司書の人は年を取ると事務主査や企画主査になります。
 と言っても上司は図書主任なので平の教員なのに部下にあたる司書は係長級の事務主査や企画主査なのです。となると教員は少なくとも係長級以上の地位ということになります。
 事務職員の場合肩書=地位なのですが、教員の場合肩書が実質ないのに部下は結構えらいということになります。多分医者の世界でもそうだと思います。専門職とはそういうものなのでしょう。
 ちなみに教員は事務職より給与が高いので、事務職で出向すると給与が下がります。そうならないように、例えば教育研究所の研究主事などに出向する場合、一端教頭に昇格させてそれに相当する事務職員の給与をもらうそうです。
 そして現場の教員に復帰させるときはまた平の教員の戻すそうです。警察でも知事部局に出向する時その手を使うそうです。警部補なら警部に一端昇任させて、復帰する時また警部補に戻すそうです。
 ある時そんなことが書いてある本を読んでなるほどと思いました。検事も同じで検事兼○○課長で出向するようです。これだと給与の高い検事の資格で給与がもらえるのです。
 行政の場合、何の落ち度もないのに出向などで給与が下がるのを避けるためにいろいろな便法を使っているようです。ある小説でも自衛隊の3曹が警察庁の出向した時警部で待遇されていました。普通幹部は尉官以上ですからこれも出向の際肩書を上げていると思います。
 万が一平の教員が県警に出向するときは教頭に一時昇格させて警部で出向ということになるでしょう。普通でいえば平の教員は警部補級です。
 今日はさまざまなおじさんお県の肩書について書きました。明日は家の片づけをします。